グラジオラスの耳: 作品集 (光文社文庫 い 32-1)
グラジオラスの耳: 作品集 (光文社文庫 い 32-1) / 感想・レビュー
夢追人009
井上荒野(あれの)さんの初期作5編を収めた第一短編集ですね。解説を書かれている江國香織さんとは文学作家を父に持つ娘という共通項があるという事で芸能界の親の七光りとはまた違いますが色々とご苦労でさぞや大変だろうなあと思いましたね。表題作『グラジオラスの耳』は腐れ縁の男と別れられないヒロイン淳子とイギリスの妻子持ちの男とズルズル関係を続ける女友達・寿美野と自堕落な性格でアメリカのハードなセックスの男に惚れて高校時代の同級生達を集めてグラジオラス会を立ち上げ金をふんだくる女リエの結論に拘らない奔放な物語ですね。
2020/02/02
なゆ
荒野さんのデビュー作も含まれた短編集ということで喜び勇んで読んでみましたが。そうだった、初期の荒野作品は私にはよくわからないものが多いんだった…。なのでなかなか読み進めず、かなり長い期間をかけてちょびちょび読んだ。う~ん、よく分からなかったという感想しか書けないのも困ったもんだ。こうなったら荒野作品の中で一番好きな静子さん読んで、お口直ししましょうか。
2016/09/06
ミカママ
かろうじて好きだった、と言うか理解出来たのが表題作のみ、でした。辛口すみません。デビュー作、ということで、文章がこなれていなかったのか、それとも単に彼女の当時の感性が、私を超えすぎていたせいか。これに懲りず、一気に楽しみにとって置いた「切羽」行きます♪
2014/08/05
エドワード
標題作は30代の女性たちが同窓会を開く物語。マウンティングという言葉もない1980年代後半の作品。女性の強さが、衣装、食事、化粧、言葉からあふれ出す。「わたしのヌレエフ」が彼女のデビュー作。太極拳教室に通う夏子と夏彦の姉弟。恋が軽く明るく語られる。誰にも明るい未来しか見えない時代があったのだよ。あの日あの時に書かれた時代の瞬間に一読の価値がある。「駅周辺のトイレで、全身が映る鏡の前に会社帰りの女たちが群がり、口紅を塗りかえたり髪を梳かしたりする作業に熱中している。」という描写が強烈、本当にあった歴史だよ。
2023/12/18
ミサ
登場人物たちに近づくつもりで物語にのめり込むのだけど、突き離されてしまう短編集。世界が突然幕切れする感じが余韻を残して心地いい。不穏であやしくて、生々しさも乾いた印象もあって、素敵な作品だった。面白い!
2021/06/15
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