闇の絵巻(上) (光文社文庫)
闇の絵巻(上) (光文社文庫) / 感想・レビュー
tomdam
絵師たちの戦国時代。斬新な歴史の視点である。狩野一門と長谷川一家の対立構造を、それぞれの家族関係から描くので、予想よりもずっと身近に感じてスラスラ読める。戦国時代は武将以外の物語だってあるのだ。
2010/05/25
てっしー
「等伯の絵には、人間のいたみや哀しみが、どこからともなくにじみ出ている」(p.305)―実に楽しく読みました。狩野派と長谷川等伯(派)が、一門のプライドを賭け、絵画の世界でしのぎを削ります。もっとドロドロした醜い勢力争いになるかと思いきや、お互いにギリギリのところで相手の作品に対するリスペクトを持っているところが良い。健全な嫉妬は時に素晴らしい作品を生む原動力になるのですな。作絵の様子もよく伝わり、優れた美術史・文化史でもあります。下巻はどうなる?
2012/07/18
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