夏のグランドホテル (光文社文庫 い 31-11 異形コレクション)
夏のグランドホテル (光文社文庫 い 31-11 異形コレクション) / 感想・レビュー
眠る山猫屋
【日本の夏は、やっぱり怪談】に参加。廣済堂版『グランドホテル』の夏、星祭りは八月朔日に行われる。このグランドホテルからしか見えない流星群。様々な客が訪れる(招き寄せられる?)が、牧野修さん『めいどのお仕事』の客室係と交換手、バーテンダーたちなどプロフェッショナルたちがおもてなし。人間も人外も訪れるリゾートホテルでのクロスオーバーしていく事件。加門七海さんのリリックな燐寸職人の物語は透き通るように美しく暖かい。全体に怖さは薄めだが、爽やかな夏風のような読み心地。真夏の夜の夢はきっと悪夢。独りでみる昏い夢。
2020/08/01
kasim
森の奥、海辺に佇む古風なホテル。幻想と恐怖の夏の一夜を文字通りグランドホテル形式で20人以上の作家が競作したアンソロジー、というだけでもう抵抗できない。わが身に迫る恐怖というよりウェルメイドな物語の連続で、毎晩少しづつ読んで楽しんだ。巻頭の中井紀夫がロマンティックで特に好き。あとはホテルに棲むミューズの悩みを描いた高野史緒、噺家のホモソーシャルな愛憎の飯野文彦、一編だけほのぼのの矢崎存美。妖しい女の頻出に疲れてきたところに、招かれざる客対応の最強メイドを登場させる牧野修に快哉を叫びたくなる。
2021/08/26
佐倉
8月1日、グランドホテルでは何かが起こる。この地でしか見れない願いを叶える流星群を望める浜辺、回転扉に閉ざされたバー、謎めいたレストラン、あるいはそれぞれの客室……同じホテル、同じ1日に繰り広げられる怪異的な悲喜交々を描くアンソロジー。印象的なのは小説家が出会った不思議な雰囲気の老婆が夫との馴れ初めを語る中、ホテル内で彼女の過去が再生されていく『海辺で出会って』中井紀夫。始まりとラストが実に綺麗。音楽家に幸運をもたらすミューズの間、その真実に驚かせられる『ミューズ』高野史緒、
2024/05/11
しずかな午後
飛鳥部勝則「辿り着けないかもしれない」のみ読了。挿絵のようにコラージュ作品が配されている。自分を振った女性を追いかけて、男は海辺のホテルへとやってくる。迷宮のようなホテルの中で、メイドとして働く彼女の姿を追いかける。正統派な怪奇小説という感じ、まずまず。
2023/03/17
込宮宴
8月1日に流星群が見られるというグランドホテル。流星群を見たものは願いが叶うという。これをテーマとした競作集。 宿泊客達は、従業員は、何を見るのか― 異形コレクション「グランドホテル」の姉妹編。 読後は、一旅行終えたような満足感と脱力感に浸れること間違いなし。
2015/01/31
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