三位一体の神話(下) (光文社文庫)
三位一体の神話(下) (光文社文庫) / 感想・レビュー
きいち
下巻は一気。読むスピードを遅らせる今は亡き作家の難渋なエッセイのパートも、それすら大切に読んでいたくなる感じがする。◇自殺か他殺かで作品への評価が変わっていいのか?自死をめぐる同じ文章が、その外にある事実で異なる意味を読むように…確かに、なる。芥川でも太宰でも三島でもつい、僕はその自殺の事実を前提に読んでしまっている。それは、避けられないことではあるけれど、歪んでることは意識していたいと思う。◇えみりあの、敬愛する父の文章を底から理解する和友への気持ちに心温かくなる。こんな文章もあるんだなあ、大西。広い。
2014/09/07
モリータ
◆ほぼイッキ読み。ご都合主義的な部分もあるが、まぁ。◆読んだ後、絓秀実『文芸時評というモード』の本作評を読む(久しぶりの中央図書館で)。ほぼ絶賛だが、第一の殺人の動機については疑問あり。『文選』は置いてなかったので文芸批評集上下二巻を借りて帰る。
2020/08/20
泉を乱す
過去読了
2016/10/31
はまちゃん
大西巨人氏の長編小説の下巻。尾瀬路辻の真相を解明するために真犯人 葦阿胡右に近づいた枷市和友は、逆に殺害されてしまう。彼の婚約者 尾瀬咲梨雅は、葦阿の完全犯罪を打ち破ろうと奔走する。犯人探しや謎解きの要素はなく、追う側と追われる側の心理面での動きが前面に出てくる。犯行は非常に稀な偶然の積み重ねで露見する訳だが、そのこと自体が大きな意味を持つことなく、金の者と銀(もしくはそれ以下)の者の悲劇(ある意味喜劇?)が主体である。それは主人公たちの名前、尾瀬路辻(オセロー)と葦阿胡右(イアーゴー)にも表れている。
2017/11/21
ユーコ
二つの殺人事件を引いたり寄ったり別の角度から眺めたり。そこにはトリックも謎解きも無い。核になるのは文学、文学、文学。膨大なテクストと過剰な書き込み。時に笑ってしまうほどだった。『神聖喜劇』も読もう。
2014/06/11
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