覚醒者 (光文社文庫)
覚醒者 (光文社文庫) / 感想・レビュー
巨峰
珍しくも理詰めの友成という感じ。濃いです。小説家志望だった岩本と画家志望だった三神。そんな二人の共通点は大酒飲みということから仲良くなり、福岡のタウン誌の記事を共同して担当し、共同で事務所を開いたりしてます。この人たちのアル中の話が真に迫っていて結構面白い。冒頭福岡市内で限定的に発生した大震災の話から二人の過去にさかのぼりまた戻ってくる。三神が出合い三神が語る南洋インドネシアの古き神々はアル中ゆえの幻想か、それとも。偉大なる終末からの転生への壮大な前奏曲と位置付けられる作品です。
2019/01/12
Bugsy Malone
友成先生ということでかなり激しい話かと思いきや、「クトゥルフの呼び声」や「インスマスを覆う影」を思わせる静かに進行するガチガチのクトゥルフ神話だった。くどい程に克明なアル中の症状の描写を呼び声に繋げている所などは流石に上手いです。焦れったいくらいの物語の進み具合い、未完の様なラストもラヴクラフトっぽく、「黒魔館の惨劇」同様、友成先生の多彩ぶりを堪能しました。
2017/09/28
みや
福岡市中心部で古代の神々による文明へ対する闘いが始まるホラー、といった内容のあらすじと作家名からもっとグロテスクでおどろどろしいホラーを期待していたのだが、全然違った。大半がアル中人間の幻覚妄想とインドネシア小島旅行記。最初からこういう話だと思って読んでいたら楽しめたのかもしれないけれど、肩透かしを喰らって拍子抜けしてしまった。勝手に期待した自分が悪い。全身に切れ込みが入り、剥がれ落ちそうになる肉をセロテープで留める場面は良かった。クトゥルフ神話への興味は更に湧いたので、少しずつ学んでいこうと思う。
2018/06/14
Ai
皆さんのレビュー通り、続きが読みたい。グロスプラッタッタを抑えた、友成さんのクトゥルーもの。いいところで終わるが、アル中が視る幻覚はリアル。
2021/07/28
かとめくん
主題はクトゥルフ神話をモチーフにした、古代神の復活の前兆までの物語。題材から相当なスプラッターなのかと思いきや、以外に落ち着いた展開と結末であった。ただ、序章的な話だったので、続きがあるならすごい事になるのかもしれないけど。副題で、結果的に古代神の口寄せとなる三神がアル中になる経緯が描かれるが、これが結構リアルで怖かった。解説によると作者の実体験がベースになっているらしいが、幻覚に蝕まれていくさまに鬼気迫るものがあった。非現実に取り込まれないよう、注意したいものです。
2013/04/09
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