誘拐 新装版 (光文社文庫)
誘拐 新装版 (光文社文庫) / 感想・レビュー
Kircheis
★★★★☆ 幼い子供の営利目的誘拐事件を描いた骨太ミステリ。 犯人視点の倒叙パートと警察組織の捜査パートや百谷弁護士の推理パートが入れ替わり挿入され、読者の興味を引きつける。 倒叙は大好きだし、終盤まで緊迫感は持続するしで読み応え有り。 ただし、警察たちの無能ぶりと子供の命軽視の姿勢にはぶっちゃけ犯人以上に腹立った。犯人逮捕より人命優先が絶対やろ! 最後捕まった犯人の憎まれ口も相当ムカつくけど、おそらくこれは失敗(認められない)だと思う。
2021/01/22
浅木原
実際の事件を基に、もっと巧くやってやるぜ的な誘拐ミステリ。最初の裁判傍聴パートからいかにも60年代な感じの硬くて地味な展開が続いてやや退屈してたけれど、弁護士の妻がとんでもない罠を仕掛けるあたりから盛り上がり、犯人が判明することで事件の真の動機が明らかになるところで思わず目を見開く。こんな超単純な動機から目を逸らされていたとは! 450ページかけての強烈なミスリードに感嘆。犯人の犯した法律上のミスが今ではまずあり得ないものであることも含めて時代は感じるけど、オチまで含めて終盤100ページで評価が急上昇。
2016/05/18
造理
★★☆☆☆ 誘拐物の古典。いかにも怪しい容疑者がミスリードとして何人か出てくるのですが、ちょっと現在ではサプライズ度は低いですね。終盤で妻が仕掛けた作戦には驚きました。また最後の最後で冒頭の裁判が伏線として効いてくるのが上手いですね。
2015/12/06
一乗寺隼人
犯人を追い詰める百谷夫妻と探偵軍団の大胆な作戦が秀悦。けど、タダでは終わらせないラスト2頁に戦慄。そうきますかー!
2014/02/06
空腹
身代金の受け渡し方法や警察介入のジレンマ等、誘拐モノの先駆けであるにも関わらず、その面白さを余すところなく詰め込んである作品。物語は犯人である「彼」が実在の事件を参考に誘拐方法を思案する場面から始まります。変な話ではありますが、この描写があることで読者は誘拐犯に感情移入をさせられます。この経緯があればこそ、終盤で犯人が追い詰められていく際には一層のハラハラ感が生まれているんでしょうね。冒頭の着想のみで書き始めたというのに、これだけ纏まった作品を書き上げられるというのは流石です。
2011/04/20
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