目下の恋人 (光文社文庫)
目下の恋人 (光文社文庫) / 感想・レビュー
あつひめ
誰かに導かれるように泥沼の中に足だけでなく身も心も引きずり困れるような…そんな疑似体験をさせてもらった気がする。読み終えて…とても苦しい。自分の意思なのか、体が求めるものなのか…わからない中で相手を求めてる。この狂おしい気持ちは…実体験したら身も心もぼろぼろになりそうな気がする。この狂おしい感覚を再び体験したくなり…辻さんの作品に手を伸ばしそう。
2014/05/18
ちさと
代表作「サヨナライツカ」のベースになった「好青年」含む、不倫純愛結婚離婚とにかくさまざまな愛の形を綴った短編集。サヨナライツカがよかっただけに、全然好青年じゃない「好青年」には少しがっかり。男性作家にも関わらず、全体的に女目線の心情がうまく抽出されているけれど、表題作「目下の恋人」の主人公が最後に持った感情は、男の希望的観測の域を出ていない印象でした。長編で本領発揮してもらった方が良い作家さんかもしれません。
2019/01/09
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わたしはこの本を読んで共感や批判ができるほど、恋愛をしてきていない、そう思いました。愛おしくて苦しくなるような感情も、誰かに必要とされる喜びも必要とする喜びも理解できていないのでしょう。愛とは何でしょう、恋とは何でしょう。その違いは一体何でしょう。答えはないのかもしれないし、人によって異なるのかもしれません。自分なりの答えがいつか見つかれば良いのに。切なくて苦々しいような雰囲気に飲まれながら、そう思いました。辻仁成さんの作品は初めて読んだのですが、他の作品も読んでみたいと思わされました。
2014/05/02
桜もち 太郎
入院7日目。「一瞬が永遠になるものが恋。永遠が一瞬になるものが愛」何かわかったような、わからないような。表題作「目下の恋人」の一節だ。目下の恋人ネネとヒロムは人に紹介する。それに対しネネは笑って堪える事しかできない。目下とは当面の間という意味がある。ネネの不安な気持ちは大きい。しかしヒロムの祖父母に会うことで、ヒロムの心を知ることになる。この作品以外はほぼ不倫物だ。「不倫も貫けば純愛だけが残る」って不倫を正当化する言い訳になるような気がする。9.11アメリカで起きた同時多発テロの影響を大きく受けた作品群。
2023/08/27
ミーナ
短編10篇。表題作がすごくよかった! なんてステキな2組のカップル! 恋愛の理想形。ほとんどの女性はこうありたいんじゃないかな。「好青年」は「サヨナライツカ」の短編バージョン。「サヨナライツカ」ではシュガーコーティングされていた、豊の本音を書いた話。読まなければよかった。 「偽りの微笑み」~「王様の裸」のみ連作。そう。手に入れると色褪せてしまうもの。 表題作の名言「一瞬が永遠になるものが恋、永遠が一瞬になるものが愛」はステキだけれども、私は愛と恋が逆だと思う。
2014/04/04
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