轢き逃げ (光文社文庫 さ 1-27)
轢き逃げ (光文社文庫 さ 1-27) / 感想・レビュー
セウテス
〔再読〕佐野洋氏は一つ一つの作品に、たいへんなこだわりを持って書かれる作家さんです。よって作風が一作品毎に違っている為に、中には合わない作品もある。本作は私が押すベストオブ佐野洋である。二部構成になっていて、一部は轢き逃げをした犯人の心理や、迫って来る警察や記者そして家族との間に起こる展開を、サスペンスで描いています。二部は一転関係者の一人が殺され、犯人探しのミステリーに変わります。轢き逃げからミステリーへ、又被害者と家族の肖像を描くプロットというのは数が少なく、玄人好みの趣向を凝らした良作だと思います。
2015/11/02
有理数
轢き逃げ犯人たちの弄した策に立ち向かう警察と新聞社員の構図を描いた倒叙形式の第一部、そこから視点を探偵役にすり替え本格推理の様相を呈す第二部、という大胆な構成をとった意欲作。交通犯罪に対するアプローチが精密に描かれていて、それに対する犯人側の戸惑いや焦りも含め、序盤中盤は非常に面白い。後半はとある衝撃的な展開でフーダニットへと姿を変える。ただ前半のスリリングさがなくなり失速、フーダニットとしても魅力ある着地になったとは言えない所が若干残念。ただ力作には違いありません。面白かったです。
2017/03/12
背番号10@せばてん。
【1985版_東西ミステリーベスト100_88位】2005年11月15日読了。1970年初出。The 昭和。
2005/11/15
涼
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2018/12/post-b5fc.html
2018/12/17
Teruhiro Hori
再び佐野氏。これが代表作だろな。やっぱ。いかにもオヤジが読む匂いプンプンの作風だが、子供向けミステリーに飽き飽きして町の図書館でカッパノベルスを読んでた小中校時を思い出した。どんでん返しは最後、でなく中盤に。派手なトリックはないが、ジリジリと熱を読者に投げる書き方に、プロの筆力を感じた。本格ミステリーを目指す書き手は、こういう古典こそ読んで学んでほしい。
2013/05/13
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