いつもの道、ちがう角 (光文社文庫)
いつもの道、ちがう角 (光文社文庫) / 感想・レビュー
takaC
「なんだかよく判らない、けど、判るような気がする」7編。初出:琥珀のなかの虫(別冊小説宝石1999初夏特別号) / 麻疹(小説宝石1995年3月号) / 恐ろしい絵(小説宝石2001年5月号) / 厄介なティー・パーティ(小説宝石1994年10月号) / 裏庭には(小説宝石2001年10月号) / 窪地公園で(小説宝石1997年1月号) / いつもの道、ちがう角(小説宝石2005年10月号)
2017/06/02
ジンベエ親分
何となく不穏で不気味な結末の7編から成る短編集。スーパーナチュナルな要素もある表題作や「麻疹」のような話もあるが、大半は人の悪意や狂気が見えてゾクゾクっとする話が多い。ラストで何が現実で何が夢か分からなくなる表題作、狂気の世界からやっと正常な日常に戻ったと思ったら、ラストにまた突き落とされてうぎゃっと叫びたくなる「琥珀のなかの虫」など、妙に現実感が薄い文体が効果的でジワる。「恐ろしい絵」は少し毛色が異なり、読者より創作者である作者本人や同業者の方にとってはよほど怖い話だろうと思うのだけど…
2018/01/07
ピップ
ちょっと意味深な短編集。1本30ページ程と短くて読みやすい。ちょっとよく意味がわからないものもあり、は?って感じのもありますが、解説の「重要なのは解釈ではなく、わけがわからないけれど、いやな気持ちになるのがポイント」とあり、納得。修行が足りないことを実感しました。表題作『いつもの道、ちがう角』が一番良かった。
2020/07/20
くさてる
いわゆる「奇妙な味」の短編集……と思いきや、それでは片付かない幻想味あふれる話もあって、とても面白かった。個人的には、最後の最後で声が出た「琥珀のなかの虫」、これはとても怖い、底無しに怖い話ではないかと思う「恐ろしい絵」、幻想的で不可解で、落ち着かない読後感の「麻疹」「いつもの道、ちがう角」などがとくによかったです。
2021/04/17
ぶんぶん
誠に不思議な短編集でした。奇妙な後味が残る、そして何だか解らない内に終わる。主人公が考えていることが、「そうなんだよね」と理解出来るが、「でも、そうなの」と次の瞬間分からなくなってしまう…不可思議なお話を集めたアンソロジー。何となく夢空間に遊ぶ様なダーク・ファンタジーの傑作。
2014/01/17
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