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わたしの台所 (光文社文庫)

わたしの台所 (光文社文庫)

わたしの台所 (光文社文庫)

作家
沢村貞子
出版社
光文社
発売日
2006-06-13
ISBN
9784334740863
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わたしの台所 (光文社文庫) / 感想・レビュー

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森の三時

Eテレの「365日の献立日記」を見て感銘を受けこちらの本へ。不規則な女優業をしながら家庭では食事を作りこまごまとした家事もこなし、沢村貞子さんすごいです。明治生まれのお母様に仕込まれた暮らしの知恵や人としての心の持ち方など、良い意味で昭和までの日本人の姿が描かれた素敵なエッセイでした。貧しかった日本にもやがて物が溢れるようになり、家事の機械化が進み、女性の地位も向上していく中で沢村さんの暮らし向きも少しずつ変わっていくのだけれど、頑固さと柔軟性の両面を兼ね備え、何より背筋の伸びたおばあちゃまでした

2023/07/27

井上裕紀男

一日一度陽の当たる「ひなたの雑草」。自らをそう表現しているが、沢村氏の洒落っ気のあるちょっと皮肉めいた語り口が心地良い一冊。一気に昭和の世界へ入り込んでしまいます。 御御御付けって書くと、味噌汁も確かにしゃんとした料理なんだと改めて思い、鰹節のエピソード「けずる」は戦争に苦しんだ彼女の思いが詰まっていて惹かれます。 ほどほどのしあわせや一病息災など、台所だけじゃない話も実に染み入る。時々見せる芝居へのこだわりと捉われない抜け感が名女優と謳われた所以でしょうか。 人生は「ころあい」が大切なのでこの辺で。 

2021/09/19

べる

丁寧な暮らしに憧れる私にとって生活の知恵が詰まっていて、時代が違うからこそ新たな気づきがあるエッセイ集であった。女の茶碗が小さかったことも知らなかった。今当たり前の男女同権はこの時代の方々のおかげだ。「きもの五十に、帯が百」、確かに私もシンプルな洋服を小物で飾る方がオシャレだと感じる。人との付き合いは「つかず、はなれずが一番」。人間はあきる動物だから、気付いた時にテーブルの向きなど小さなことでも変えてみる。忙しく追い立てられる日々に、日本の四季折々の行事はふと立止り、ほっと一息つくために必要かもしれない。

2024/05/16

しのさー

「中掃除小掃除」5月土曜、下町で町内中で助け合い大掃除(衛生掃除)区役所から済判の紙をもらい玄関先に貼る習慣はお祭りのようで面白かった ほかに「食いしんぼ」「ドラマの中の姑」「苦労を食べてしまった人」も印象に残った 沢村さんが手間ひまをかけ、季節に応じた料理は美味しそうで想像しながら読んだ 自分で作るのは好きではないが、料理の様子を読むのはとても楽しい

2022/09/18

kinshirinshi

「私はひなたの雑草」と言い切る庶民派女優で、主婦でもあった沢村貞子さんのエッセイ。こまごまと色彩豊かな料理の描写(水色の皿にのせた白いえのき茸にたらこの赤い粒、青磁の鉢に盛った白・赤・緑・瑠璃の漬物)の合間に、鋭くウィットに富んだ人生哲学がのぞく。夫婦茶碗の大きさが均一になったことを「男女同権」と捉えながらも、男女では食べられる量が違うことを冷静に指摘したり、価値観の合わない若者との会話を外国に旅行に行っているつもりで楽しんだり…。ポジティブな生き方に励まされる。ずっと手許において、大切に読みたい本だ。

2021/09/08

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