Wの悲劇 新装版 (光文社文庫 な 1-25)
Wの悲劇 新装版 (光文社文庫 な 1-25) / 感想・レビュー
セウテス
〔再読〕私にとって本作は、薬師丸ひろ子の「私お祖父様を、刺し殺してしまった」という、映画の場面をCMで何度も見た印象になる。エラリー・クイーンの「Yの悲劇」に挑戦との事で、1982年当時ミステリ仲間では大いに盛り上がった。物語は雪の山荘にて、一族の祖父を孫娘が殺害してしまった事を、何とか隠そうと強盗に襲われた様に画策する話。偽装工作が次々とバレていくのを、読者は刑事たちを敵にする立場で、ハラハラする事となる。特徴は倒叙形式であるのに、真相が二転三転する驚きにある。正にミステリを楽しむ、そんな雰囲気の作品。
2019/04/08
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
これはたしか新装版になった時にも再読。夏樹さんの代表作だと思います。ドラマや映画にもなったもはや古典ですね。タイトルの意味はなるほど読んで納得しました。その「W」だったのですね。本よりも映画の方が印象の強い作品でした。本を読むと薬師丸ひろ子さんの顔と「私がおじいさまを殺してしまった」というCMにも使われた場面が浮かんでしまうのが難点です。★★★(映画の主題歌は好きですね。薬師丸ひろこの透き通ったボーカルが良い。https://www.youtube.com/watch?v=56qIgzffiB4)
NAO
製薬会社を営む和辻家で起こった殺人事件。身内の犯人を隠蔽した一族VS警察という話かと思いきや、外部犯行説はあっさり覆され、事件は全く違う方向へと進む。この作品は、エラリー・クイーンの名作『Yの悲劇』に挑戦する形で書かれた。Wは、和辻のWであり、womenのWでもあるが、実は、もうひとつの別の意味も込められている。
2020/03/06
ちょこまーぶる
往年の名作だけあって、素晴らしい一冊でした。最初に犯人をはっきりさせておいて警察が偽装工作を潰していくという流れと思いきや、そんな単純なあらすじではなくて次々に新たな容疑者が現れるという状況で、読み進めながらページを捲ることが楽しかったですね。個人的には、摩子の家庭教師である春生に現場にいる第三者として、正義感を現して活躍して貰いたかったなという思いです。それにしても、財産があると不幸が訪れますから、そこそこが良いかもです。昔映画は見たと思っているんですが、全く内容は覚えていないので、今度レンタルします。
2015/01/29
ばりぼー
訃報に接し、哀悼の意を表して約30年ぶりの再読。氏は笹間村(現・島田市川根町)に疎開したり、熱海で小中学校時代を過ごされたりと静岡県と大変縁の深い方で、氏に因んだ記念館や文学賞はいくつもあり、地元の図書館や書店など至る所で追悼フェアが催されていますが、エラリー・クイーン(ダネイ氏)との親交によって、日本の推理小説を世界に紹介する先駆けとなった功績を忘れるわけにはいきません。タイトルからクイーンの悲劇四部作に挑戦した作品であることは一目瞭然ですが、その名に恥じない実に「日本的な傑作」であると断言します。
2016/03/25
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