第三の女 新装版 (光文社文庫 な 1-26)
第三の女 新装版 (光文社文庫 な 1-26) / 感想・レビュー
セウテス
〔再読〕パリのフォンテーヌブローの森の小さなホテル、停電の暗闇の中偶々出逢った男女が、殺したい人物がいる事を告白する。心を通わせた2人は、暗闇の中お互いの顔も解らないまま、夢か幻の様な愛を交わす。日本に戻り、男の殺意の標的が殺害される。交換殺人が進行中である事を男は知るのだが、本作の特徴は共犯者となる2人が、会ってもお互いが解らない行きずりの間柄だということだ。夏樹氏の設定は正に独創的だが、物語はそれだけで終わらない。男はどの様に交換殺人をこなすのか、そして幻の女はいったい誰なのか、最後までロマンが漂う。
2019/04/09
みっぴー
『そして誰かいなくなった』より、断然こちらを推します。交換殺人ものです。フランスで出会った二人が、お互いの顔も正体も知らぬまま、交換殺人の黙契を交わす。ハイソな雰囲気はやはり夏樹静子。階級社会や社会問題をうまく生かした無駄の無いロマンサスペンスに仕上げている。契約を交わした謎の女の正体は全く予想していなかったので、見事な伏線に思わず唸りました。飽きずに読めて、満足出来る作品です。
2018/01/12
hiro-yo
日本人初のフランス犯罪小説大賞受賞作らしいです。フランスパリから始まる交換殺人サスペンス。夏樹さんの上質な言葉で綴られた展開からもヨーロッパの空気を感じました。 第三の女は意外な人物でした。
2020/01/10
てつ
晩秋のパリ郊外から始まる幻想的な導入部。男と女の官能的な出会いと心のつながり。その行方は...幻の女の正体は...??が主軸になる。素直に読めば、幻の女の正体がなかなかつかめず、ハラハラドキドキ、ラストの仕掛けに「あっと驚く」となるのだろうが、謎解きは、さほど凝ったものではない。感情を移入し、深読みすれば面白い。しかし本格的ミステリーを期待する人には...2時間ドラマの域を脱しえないかも。
2013/08/04
くろばぽん
史子は誰なのか、という謎の答えには素直に驚く。なかなか想像できない設定に、さすがは夏樹先生だなと。だけど、大湖の思考や行動が私の理解を超えていて、これだから男は全く~と、世の男性に叱られそうな感想を抱いてしまった(笑)。そりゃあ女性の情念のほうが怖いよね。
2015/09/17
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