薔薇海溝 水上勉ミステリーセレクション (光文社文庫)
薔薇海溝 水上勉ミステリーセレクション (光文社文庫) / 感想・レビュー
GaGa
高名な作家の初文庫化作品。はっきり言ってしまうと駄作。解説によると同時期に名作「飢餓海峡」を連載執筆していたそうで、おそらくはほとんどの労力をそちらに注いでいたのではないだろうか。犯人が仕掛けるトリックも現代の科学捜査ではとても通用する代物ではない(これは作品が書かれた当時のこともあり、作者は責められない)内容からはまるでピンとこないタイトルにも疑問。
2010/09/29
marukuso
一年ほど付き合っていた彼女軍司悦子が死んだ。一報を聞き、かけつけた梶田精之は死体をみて別人だと気づく。なぜ彼女の名を語って死んだのか。軍司の名をきき駆けつけた別の女鷺野原晶子は何者なのか。本物の軍司悦子はどこに消えたのか。三人の女の謎が徐々に明かされていくなかで、大きな犯罪の影が横たわる。三人の女のように謎につつまれた雰囲気がある人は魅力的だ。
2018/09/15
クリイロエビチャ
「飢餓海峡」よもう一度、という思いで読んだのだが、ひたすら退屈だったなぁ。「飢餓海峡」も伏線がほったらかしだったり結末に納得いかないところもあったり、不満はあるがそれでも楽しめた。でも、この「薔薇海溝」はただただつまらない。なんの魅力も無い男が女の間を行ったり来たり。肝心の事件は主人公と行動を共にしない刑事が進めてくれるから、開陳される捜査結果を聞くだけ。文芸部の同人誌を読まされたような気分。水上勉は私にとって「飢餓海峡」だけの作家になりそう。名作が他にあるのかもしれないが、手に取る気が起きないのだもの。
2015/03/28
shinge
推理小説?昭和30年代後半を舞台にしたものとはいっても、捜査方法、おおよそ予測がつく顛末、展開の緩急の一貫性の無さ、文章力で納得させられたような後味の悪い読後感を覚えました。 週刊誌に連載していたとのこと、うなづけます。かいているうちにどんどん読者受けするように方向が変わっていったのでしょうね。あっ、と思わせる展開を期待していただけに残念。 先に出てきた宿屋の若女将なんか、最後の最後までこの小説の複線かと思っていた私が馬鹿でした。
2012/04/28
コマンドー者
水上先生の社会派推理時代の長編。もともと女性誌の連載だったためか、メロドラマ調の展開がメインであり、最後まで引きつけるストーリー運びはさすがだが、やや通俗路線であり、、水上社会派推理作品群としては中位くらいの出来か。
2021/04/20
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