象を洗う (光文社文庫 さ 11-8)
象を洗う (光文社文庫 さ 11-8) / 感想・レビュー
ちゅんさん
今の日本人作家でおそらく一番好きな作家。エッセイは小説ほどクセは強くないが時々垣間見える偏屈さには少し嬉しくなる。“じわじわとはじまる”が特によかった。こんなことあるのかな、あるかも知れないな。あったらいいな私にも。
2021/09/13
奏市
懐かしさが込み上げてくる主に90年代に書かれたエッセイ。当時の著者の年齢見ながら自分はその頃何してたかとか書かれている場所のその頃の様子を思い出したりしながら読んだ。あとがきに書いてあるが、表紙と各章の扉にある写真は装丁家がそれを撮る為わざわざ東京から佐世保に行き撮ったものだと。また著者がいるのにあえて連絡しなかったことも含めその仕事ぶりを著者が好ましく思っていると。著者の小説で出てきて初めて知ったスクラブルとの本人の出会い、暫く嵌まったことも知れて良かった。それを売っているホテルってちょっと洒落てる。
2024/10/12
こすも
小説における「語り」の名手ですから、エッセイが面白くないわけない。佐藤正午さんは小説以外にエッセイも11冊ほど出されていて、『象を洗う』は3冊目のエッセイです。全体としては小説の主人公・津田真一のような飄々としたユーモアのトーンでまとめられていますが、時おり正午さんの「言葉」に対するこだわりとセンスが光ります。小説を読むことが好きで、小説を書くことに真摯に向き合う姿勢がにじみ出ているところも好印象でした。
2017/12/31
momo
1991年「すばる」で発表されたセカンド・ダウンから約十年の間に発表されたエッセイと三編の短編小説が収められています。「象を洗う」という題名が、作家としてのあるべき姿を表現しているということで、興味深い内容です。特に心に残ったのは「金魚の運」というエッセイです。佐藤正午さんが幸運、不運をどう考えているのか、不運の連鎖を断ち切るためにするべきことが人生相談の回答のように書かれていて面白く思いました。さらに一生をまるごと左右するような運についても言及されていて正午さんの文学のテーマの一つのようにも感じました。
2017/08/31
チワ
硬派なようでいて軟派なエッセイであった。中堅小説家の苦労が見えてきて面白い。もっとささいな日常について知りたいところである。
2019/09/13
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