松本清張短編全集 3 (光文社文庫 ま 1-15)
松本清張短編全集 3 (光文社文庫 ま 1-15) / 感想・レビュー
ソーダポップ
松本清張は、ミステリー(探偵小説)作家だと思われるが、それは後の話。作家活動開始当初は、デビュー作「西郷札」など歴史小説が多かったが、この全集3くらいからミステリー要素が強くなる。この人の話の作り方は実に独特だ。謎解きがあるわけでもなく、探偵も出てこない。平凡に見える事件の経過を語っていくうちに、実は全く別の事件であることが判明する、というパターンが多くやはり清張はミステリー作家だと言える。切れ味の鋭い皮肉な幕切れまで、小説としての完成度を高めている全集でどこかノスタルジックな感慨を感じた。
2022/05/05
KAZOO
この中ではやはり何度か読んだこともあるのですが副題となっている「張込み」と「菊枕」が読みでがあります。そのほかも同じようなタイプの小説が多いのですが、このころは清張もまだ頭角を現しつつあったころで、生活も厳しく自分の体験などを重ね合わせて書かれていたものが多いと感じました。
2014/09/12
とろとろ
短編全集3冊目。これは自身が編纂したもののようであるから、物語の並び順にも意味があるのであろう。だが、とても暗い情念に振り回されるような話が並んでいた。意図的に私小説的な話を集めたものではないかと感じた。
2015/07/11
ラムネ
スルメのように噛めば噛むほど、味が出る短編集。 時々ガリっと苦かったり、思いのほか甘みがあったり、激辛だったり。 不遇の時をじっと堪えて、浮かび上がる時を待つ物語が多い。 人生の辛いところは、不遇の者は不遇のままどころか、 どんどん悪くなっていくことだ。 好事魔多しに対して、魔には好事はやってこない。 ひとつ踏み外したら終わりの中、 ささやかな幸せを求め生きてるんだなあ。
2018/03/01
ランラン
著者の推理小説も面白いが武士の世の時代背景に転嫁する話も面白い。歴史に対する造詣が深いからこそだと思う。
2020/10/10
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