独白するユニバ-サル横メルカトル (光文社文庫 ひ 14-1)
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独白するユニバ-サル横メルカトル (光文社文庫 ひ 14-1) / 感想・レビュー
W-G
他短編集と比べても文学性が高いと感じた。『無垢の祈り』が最も気に入った作品だが、映画化されているらしく驚いた。是非観てみたい。『ニコチンと少年』『怪物のような~』辺りも非常に好み。他短編集にあるようなパンク調の文体が控えめで、抑制の効いた語り口が多く、全体の統一感が高い。グロイと言えば確かにグロイのだが、暴虐性は控えめで、どちらかと言うと"透き通った"印象が強い、不思議な魅力のある作品集。寡作で作品数が少ないようだが、もっと短編を書いて欲しい。"スナギモ""ドブロク"といった独特のネーミングセンスも好き。
2017/01/19
徒花
図書館。表題作はミステリーなのかと思って読んだらそうでもなかったでござる。「ニコチンと~」「Ωの~」「無垢の祈り」「オペラントの~」「卵男」あたりはおもしろい。それ以外は、読んでいて一定の快感は得られるものの、なんだかオチがストンと腹落ちせずにモヤッとした読後感。『デブを捨てに』を読んでから日が経っていないせいか、麻薬が立て続けに摂取するとその効力が弱まっていくのと同じように、それほどの満足は得られなかったのが残念。ちなみに解説はネタバレ満載なので最初に読むのはおススメしない。
2016/08/21
遥かなる想い
2007年このミス国内1位。 異色な短編ミステリー集。 各編に登場する壊れた人々が 面白い。著者が提示する 異様な世界は残虐で気持ち悪いが、 強烈で登場人物に心がないのがむしろ救われる気がする。 読んでいると、正直訳がわからなくなるが、 「異形短編集」としては 注目の作品らしい。
2016/01/01
勇波
「このミス2007年度版」で第1位との事ですが、ミステリとして読むんだったら面白さが半減してしまうような気がします。この作家さんに関してはどのジャンルに当てはまるのか考えるのは全く無意味。。表題作を始めどの物語も洗練された芸術の域まで達した短編集だと感じます★
2015/09/26
🐾Yoko Omoto🐾
平山作品初読み。聞きしに勝る強烈なノワール作品群だった。だが「きつい、汚ない、気持ち悪い」という悪寒3Kを地でいくような(笑)グロさに反して、この少し胸が痛くなるような刹那な読後感と品の良さは何だろう。「怪物の~」などは正直耐えがたいほどの残酷描写が続くというのにそこには”哀しい愛の物語“があり、「Ωの晩餐」「卵男」の哲学的要素を含んだストーリーはミステリというより文学小説といっても差し支えないような深さがある。イチオシは「無垢の祈り」と表題作。「すまじき熱帯」の馬鹿馬鹿しさもお気に入り。秀作揃いの一冊。
2015/02/10
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