顔のない敵 (光文社文庫 い 35-5)
顔のない敵 (光文社文庫 い 35-5) / 感想・レビュー
ダイ@2019.11.2~一時休止
対人地雷がテーマの連作短編集。地雷原突破は第一話で既読。活字デビュー作がおまけ?に載っている。トラバサミが一番よかった。
2015/07/31
セウテス
対人地雷をテーマにした、7作の短編ミステリ。様々な対人地雷についての知識や見解が語られており、カンボジアの地雷撤去の現状やNPOの活動内容などが描かれ、ミステリ抜きでも勉強になる作品だ。本作の特徴としても、ある作品で亡くなった者が別の作品で探偵役であったりと、作者の人間性の追究が現れている様に思う。よってエンターテイメントという位置付けが弱い為に、ある意味読者を選ぶ様な作風になるのだろうと感じる。1つのテーマに沿ったミステリという意味で、価値ある試みの作品だと思うが、私には少々重い気持ちが残る作品である。
2018/10/02
sk4
表題作の『顔のない敵』と冒頭の『地雷原突破』を読んで心に棘が刺さってるのに気づく。 思い出したのは伊坂幸太郎の『モダンタイムス』に描かれた【代理心理】。命令されたら何でもやるという人間の愚かな習性。 命令されて地雷を設置する時に、それが人の脚や命を奪う事をおかしいと思って欲しい。 リーマンショックの頃だったか、『黒鳥理論』で有名なタレブがアメリカの銀行家たちの無責任なモラル感覚を公で批判していた事に新しい時代を感じたが、人間一人一人がきちんとモラルを持って生きていく事が、未来への方舟だと私は信じる。
2013/07/28
きっしぃ
対人地雷がテーマの短編と、処女作が収録された本作。日本に住んでるとなかなか対人地雷のこととか、それが埋められた国の人々について考えることもなかったけれど、こんな残酷なものがあってはいけないと思いました。作る人、撤去する人、被害者、それぞれの思いが生んだ事件。非常に興味深かったです。最後の処女作の短編も、エレベーター内で起こる事件がロジカルに展開され、石持さんらしさがあり面白く読めました。
2017/04/10
ピップ
対人地雷をテーマにした短編集+1。連作っぽいけど、全体的なまとまりはないので、短編集といった方がしっくりくる感じ。石持さんは、みんなで、時には犯人を含めての推理合戦の作風がとても好みです。人狼ゲームのように。でも短編になると、推理合戦も浅い感じで終わってしまうように感じます。短いので仕方ありませんが。それでも、+1の「暗い箱の中で」はとてもおもしろかったです。
2022/02/18
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