不正侵入 (光文社文庫 さ 21-6)
不正侵入 (光文社文庫 さ 21-6) / 感想・レビュー
utinopoti27
正義感溢れる捜査官が、危険を顧みず、巨悪に孤独な闘いを挑むという設定は、多くの警察小説で見受けられる定番だ。本作もその図式を踏襲しているのだが、検察官、暴力団、ハッカー等々多彩な登場人物たちが入り乱れ、二転三転のストーリー展開で、読み手をグイグイ引きつけていく。さすがは山岳小説の雄、熟練の筆致が冴え渡る。ただ一方で、風呂敷を拡げすぎたゆえか、6百ページを費やしてもなお、収束の積み残し感がどうしても拭えないのだ。プロットの練り込みとキャラクター構成にもう一工夫あっても良かったのではないか。
2021/08/12
ヨーコ・オクダ
594ページのボリューム。組対部4課からハイテク組織犯罪特別捜査室の室長に抜擢された秋川がメインキャラ。と言うても、彼自身は全くハイテク色はなく、それらしいスキルがあるのは、この作品通してのキーパーソン・北本啓太とハイ特捜査室の清崎のみ。この北本クン、4年前に金属バットで祖母を撲殺したことになっているんやけど、何やら裏があるらしい。秋川刑事の周辺で起こる事件、事象の全てがそこへ巧いこと繋がっていく。警察小説でお馴染みのネタがてんこ盛りな欲張り小説。でも、とっ散らかっている感はなく、面白い!
2015/09/28
あや
個人的に意外とあっけなかったラストが好きです。ゴリゴリの警察小説なんだけど、伏線がたくさんあって、ここと繋がってるんだ~と思いながら楽しめました。
2013/08/01
hiyu
親友の突然の死とその妻の突然の失踪は、秋月に後悔をもたし、巨悪に立ち向かうことになる。ここまで悪が繋がっているとその悪に染まる、染まらないといった差は何か。それを深く考えてみる機会にもなる。個人的には親友の妻のもう少し詳細な生活歴を知れればなよ良かったかな。
2019/08/04
フジコ
初読みの作家さん。暴力団対策のプロである刑事秋川が、友人の不信な自殺を発端に、幾重にも絡んだ複雑な事件に取り込まれていく。暴力団との関わり、不可解な人事異動、怪しい少年と、かなり作り込んだ印象でディテールも細かい。ネット関連は私にはちょっと難しい部分もありつつ、最後までノンストップで読ませて頂きました。自分達のエゴのために、正義を忘れてしまった人ばかりではないと信じたい。秋川のキャラクターがとても好き。
2012/09/13
感想・レビューをもっと見る