夜叉桜: 長編時代小説 (光文社文庫 あ 46-2 光文社時代小説文庫)
夜叉桜: 長編時代小説 (光文社文庫 あ 46-2 光文社時代小説文庫) / 感想・レビュー
KAZOO
あさのさんの時代小説シリーズで「弥勒の月」に続いての2作目です。やはり、同心と親分と小物屋の主人との3人がメインです。今回は春をひさぐ女たちが殺されたりする連続殺人事件のような様相を呈します。最後のその背景もわかるのですが、その間この3人のやり取りなどが結構興味を惹き建てます。とくに小間物屋の主人には、元居た藩の騒動がらみに巻き込まれそうになったりしています。この部分も結構長く続きそうな気配です。
2019/07/27
ちょろこ
シリーズ②の一冊。江戸の町で殺された三人の女の事件の真相に迫るストーリー。小間物問屋の清之介にまた会えるとは。そして彼を軸にまた哀しい事件の真相が浮かび上がるとは。やっぱり読みながらぎゅーッと胸をしめつけられるこの感じが良い。どうしようもない辛さを抱えても生きていかなければいけない人間たるもののもがきや苦しみ、生きる強さが痛いほど伝わってくる様に随所で魅せられた。清之介が醸し出す夜のような空気感が良い。信次郎の人情の薄さ、この裏側ももっと感じ取りたい。伊佐治の眼差しももっと味わいたい。
2021/11/21
あすなろ
闇は隠れようがいつか必ず引きずり出してやる。歪形な男達が迫る弥勒シリーズ2巻。もうカッコ良すぎるハードボイルドに酔いしれた。結構、読了後、繰り返し言葉変えて同じことを述べてあるのではあるが、男の心に訴えるものあり。プツリと断ち切れる音がしたなら、信次郎と伊佐次の肌を突き、彼等の出番である。また、3巻を楽しみにするとしよう。
2017/09/18
ぶち
シリーズ2作目。作者が描く人間の闇に絡め取られて、一気読みでした。 1作目の弥勒と今作の夜叉。親分の心の中の独白、「弥勒にも夜叉にも、鬼にも仏にもなれるのが人なのだ。身の内に弥勒を育み、夜叉を飼う。鬼を潜ませ、仏を住まわせる。」が、読んでいて恐くなるほど納得してしまうのです。人と人の繫がりの強さ儚さ、愛情や憎しみがひしひしと伝わってくる筆致は、大人の読者を唸らせてくれます。 そして、信次郎にも清之介にも伊佐次にも肩入れし、幸せになって欲しいと思ってしまうのです。
2022/05/13
じいじ
江戸時代が舞台の『弥勒の月』の第二弾。次々に遊女が殺される事件が…。人間の生と死を根底にした昏い重い内容だが、引き込まれる小説だ。主人公・同心の信次郎、岡っ引の伊佐治のコンビと小間物屋「遠野屋」の主、三人の虚々実々の駆け引きが絶妙で面白い。私的には、信次郎の仕事にも女にも頑固で一本気なキャラが気に入っている。人生に達観した「女に溺れて堕ちるのも、女と共に生きるも似たようなもの。しょせん束の間の夢でしかない…」彼の一端が垣間見えます(女郎宿の天井を睨んでの独り言)。シリーズ第三・四弾がますます楽しみだ。
2018/04/30
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