北帰行殺人事件: 長編推理小説 (光文社文庫 に 1-111 ミリオンセラー・シリーズ)
北帰行殺人事件: 長編推理小説 (光文社文庫 に 1-111 ミリオンセラー・シリーズ) / 感想・レビュー
飛鳥栄司@がんサバイバー
この作品は、進行している連続殺人事件が起こる根底にある婦女暴行事件があまりにもひどい事件であることから、十津川警部と亀井刑事が追う人物への同情を読者に抱かせる、西村京太郎の上手さが光る。そのせいで、連続して起こる殺人に対して読者は、肯定し許容し、そして本来憎むべきである容疑者に喝采を送ることになる。作中、「罪を憎んで人を憎まず」なんてことは虚構であり、「目には目を」のハムラビ法典が理にかなっているのではないかと、警察官の口から飛び出すシーンに何故か納得させられてしまう。
2020/09/20
朱雨
十津川シリーズ。ミリオンセラーシリーズになるほどの作品ですが、個人的にはあまり読み返したいと思えない作品でした。「動機」が辛すぎて…。しかし北海道という広大な地で、極寒の中での犯人捜しは、相当大変だったでしょうね。面白かったです。解説が鮎川さんなのが豪華です。
2023/07/17
ビスコ
十津川警部シリーズのキーとなる作品。後の作品群で私立探偵となる橋本が初登場。その関係もあって、今の読者にとっては読む前からいろいろネタバレがあるような状態だけど(若い十津川ファンって、最近の鉄道モノから過去の作品へと読み進めるから尚更)、その前情報が無ければ実にサスペンスフルなんだろうな、と思わせられる。北上していく殺人劇の犯人はかつての部下/同僚なのか。そんな十津川班の不安など、内面まで読み応え満載。 今でも時々引用される、「本格仕立てのサスペンスが西村作品の特長」という鮎川哲也氏の解説も必見。
2018/06/22
クリンクリン
ミリオンセラーシリーズ。今まで読んだシリーズのなかで一番自分的には楽しい作品でした。今となってはこういった作品を描かないのかなと思ってしまいます。サスペンスな展開を描かせたら一級品なのに……。
2014/08/11
MK
1981年にカッパ・ノベルスより刊行され、1985年に文庫化された作品。本書は「西村京太郎ミリオンセラー・シリーズ」として2010年に新装版で刊行された。 警視庁捜査一課の橋本刑事が警察を辞めるところからはじまる。寝台特急「ゆうづる13号」と青函連絡船で、たてつづけに殺人事件がおきるが、その容疑者として橋本が浮上する。 果たして橋本は犯人なのか、そうでないのか・・・ 十津川警部とカメさん(亀井刑事)にとって、つらい捜査になる。 ハラハラドキドキしながら読んだ。 青函連絡船が出てくるのが歴史を感じさせる。
2020/07/13
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