ラットマン (光文社文庫 み 31-1)
ラットマン (光文社文庫 み 31-1) / 感想・レビュー
ちょこまーぶる
面白くて時間に余裕があれば一気に読んでしまいたい衝動にかられる一冊でした。過去の暗い家族の出来事を引きづりながら生きている者にとっては、その出来事からは逃れることはできず、それが故に今回のような事件が起こってしまった悲しさに読んでいて辛くなっていたところで、真犯人は意外な人(私には予想外でした)だったので驚いてしまいました。そして、最後に過去から引きずっている様々な自己暗示的な暗い部分が少しずつ剥がされていく様は読み応えがありました。これからの亮と母親との関係、バンドの行く末が非常に気になるところです。
2015/02/28
nobby
再読。面白かった記憶だけで読み進む。その割には平坦な展開と思っていたが、ラスト50頁位でのクライマックス数行に身を乗り出した(笑)さらにそこから二転三転な仕掛け、お見事!怪しい記述や伏線らしさをたくさん残し、想像させる事実と異なる真実へと導かれてしまう。そして現在と23年前の重なりが突然と訪れるのも爽快。勘違いの積み重ね『ラットマン』そのタイトルも秀逸。ネズミは他に見えるのだけれど、ウサギがそう見えないのはご愛嬌(笑)
2015/12/22
nanasi
カバーデザインは坂野 公一さんです。大沢 在昌さんが解説をしています。予想を何度も裏切られ、ちょうど良い長さで飽きずに読めました。ラットマンの絵は何度見てもおっさんの顔には見えませんでした。
2013/06/19
夢追人009
題名の「ラットマン」は直訳すれば「ネズミ男」ですが、勿論あの「ゲゲゲの鬼太郎」とは何の関係もありません。うーん、中盤までは何て暗くて重苦しい話だろうと思って読んでいましたが、終盤に二転三転四転の大どんでん返しの道尾マジックが炸裂!という感じになって最後は「梅雨明けの日本晴れ」みたいな読後感でしたね。本書は「誤解のミステリー」と呼ぶのが相応しいですね。姫川亮は不器用な男だけど誤解ばかりで余計な事もしたが死に損なった事も含めて全てが結果オーライですよ。サンダウナーの四人に年明けの復活ライブをして欲しいですね!
2019/07/18
イアン
★★★★★★☆☆☆☆騙し絵を彷彿とさせる道尾秀介の長編。バンドマンの亮は、交際相手の妊娠への疑念から不意に殺意を覚える。練習中に首尾よく抜け出し事故死に見せかけることに成功するが…。オーソドックスな犯罪小説かと思いきや、そこは道尾作品らしい展開に。捜査状況を関係者に漏らす刑事や証拠品の採取方法などディテールの粗さは気になるものの、伏線の巧さは及第点以上。ただ、ハリガネムシを暗喩として使うなら宿主をマインドコントロールして最後は自害させる点まで触れて欲しかったのと、冒頭の挿話が本編に絡んでこれば尚良かった。
2021/12/12
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