目嚢-めぶくろ- (光文社文庫 か 36-7)
目嚢-めぶくろ- (光文社文庫 か 36-7) / 感想・レビュー
yoshida
従妹の嫁ぎ先は旧幕臣の菊池家。菊池家の蔵から見つかった文書を読み進むにつれて、怪異が起きる。文書の名は「目嚢」。耳にした怪異を集めた本「耳嚢」に対し、菊池家の屋敷を預かった高橋家の当主が目にした怪異を記した為に「目嚢」とした。顕になるかつての菊池家の罪。そして今も続く菊池家への呪い。埃の臭いや、旧い屋敷の暗がりが感じられる質感。従妹も遂に菊池家の因果を知り供養を決意するが、代々続く呪いを祓う事ができるのか。追い込まれる作家の様子と、その因果に引き込まれる様子が見事。息つく暇なく一気読み。絶品の和製ホラー。
2017/08/27
KAZOO
最近この作者と三津田信三さんの怪異小説を読むことが多くなりました。この題名は、江戸時代の奉行の根岸の耳襄にならって絵草子的な観点からつけられたものでしょう。この小説は雨とかがうまい背景とかになっていてぬめっとした感じが出ています。読んでいてかなりイメージ的には怖い感じを受けます。この主人公のほかの話もあるようなので読んでみたいと思います。
2020/11/11
sin
所謂、祟りというやつであるが、関わってしまった主人公の少しずつ次第次第におかしくなっていく有様と、その関係者の反応が興味深い。おまけにしまいにはそれを形振り構わず遠ざけようとする主人公の態度も例をみないものとして真新しい感じだ。ん?霊をみない??いや主人公は嫌というほど霊を見せられるのではあるが、作家という第三者的立場に現実逃避する形で理性的に判断しようとするあまり目を曇らせてしまう。人間というやつは見たいものしか見ようとしない典型のように感じて興味深い。そうそう作中のスイカと桃の例えは素晴らしい発想だ。
2016/10/18
nuit@積読消化中
「耳嚢」ならぬ『目嚢』!なるほど納得。「祝山」のような怖さはなくとも、古文書を解き明かして行った先ある話には、ひー!映像化出来ないよ!という凄惨な話も。いずれにせよ、生半可な気持ちで実話怪談には関わっちゃいけませんね。肝に銘じておきます。
2016/11/28
★Masako★
★★★+ 「祝山」に続き、怪談作家・鹿角南が関わった恐怖譚。従妹の嫁ぎ先菊池家の土蔵から、「目嚢(めぶくろ)」という古文書が見つかった。怖い話や絵も載っていると聞き、目嚢を調べる事にした南。だが調べようとすると南の邪魔をするかのように次々と異変が起きる。前半はそれほどでもないが、南がじわりじわりと怪異に取り込まれおかしくなっていく後半にはゾクゾクした。呪われた血の歴史、降っていないはずの雨の音、苔むした旧家、湿り気感が終始つきまとう。この手の本を読むといつも思うが、怪異には関わってはいけないのだ。
2019/08/11
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