こころげそう (光文社文庫 は 29-1 光文社時代小説文庫)
こころげそう (光文社文庫 は 29-1 光文社時代小説文庫) / 感想・レビュー
うりぼう
幼なじみで、そのままゴールのするのは、難しいようだ。あまりに近い存在はミステリアスな部分が少ないからか。50歳を過ぎてから、小学校の同級生との交流を復活させたのだが、結構いい味わい。この6人もそんな年になるといいのかも。弥太があれだけ優柔不断なくせに結婚話だけ頑なになるのも不思議。後の2人は、死ぬ思いで想いを告げるが、すげないもの。江戸言葉の短編タイトルがおしゃれだが、最後だけ普通。心化粧(こころげそう)は、片思いで、けそうでこころを隠すのか。お絹のけそうが宇多に届く日がくるのだろうか。見えない相手で厄介
2011/09/13
優希
お江戸の恋の物語にじんわりきました。幼なじみの男女9人の謎めいた事件と切ない恋心が描かれていきます。すれ違ったり失ったりと物悲しい展開に心がギュッとなりました。好きな気持ちが一方通行になっているのが切ないところです。様々な心が絡まり合い、思うようにはいかなけれど、少しずつ前に進んでいけたらいいなと思いました。宇多が想いを伝えられずに死んだ於ふじのことを想って「ああなんて好きだったんだろうな」と心の中でつぶやくのが印象的でした。
2015/08/17
nins
畠中作品らしい江戸もの連作短編集。下っ引きの宇多は幼馴染みで好意を持っていた於ふじを神田川で失う。なんと於ふじは幽霊となって現れ。巷の事件を追いかける宇多に、幽霊ながらの行動で情報を集める於ふじ。さらに他の幼馴染みの仲間達の関係も絡み合いながら枝分かれ。ミステリ要素も混ぜつつ恋愛成分濃い目。於ふじの事件も伏線としてしっかり。どの恋も自分の想いだけでなく江戸時代特有の身分の壁で迷ったり。煮え切らない片思いや幼馴染み間での三角関係も。もどかしさと切なさ。最後のオチが読める展開が分かっていても十分楽しめる。
2012/05/14
KAZOO
連作小説で全体では一つの長編小説となっている幼なじみを主人公としたもので江戸情緒がよく出ていると思います。それぞれ一つづつの小説の題名が江戸言葉で表されています。言葉の解説も載っています。確かに最後のページのことばがこの小説の言いたいことをあらわしているようです。
2015/01/01
ぶんこ
「こころげそう」という言葉の意味が素晴らしい。 江戸言葉が表題になっていて日本語は美しいと再認識しました。 幼馴染みで好きだった於ふじさんが水死、その兄も水死。 その真相を確かめないうちに、於ふじさんが幽霊となって現れる。 亡くなった兄妹を含む9人の幼馴染みに、色々な事件が起こり、下っ引きになった宇多が取り組む。 親世代の私には、子供を喪った由紀兵衛さんや平五郎さんのやり切れなさが胸に堪えました。
2014/10/18
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