北ア山荘失踪事件 (光文社文庫 も 2-71 森村誠一ベストセレクション)
北ア山荘失踪事件 (光文社文庫 も 2-71 森村誠一ベストセレクション) / 感想・レビュー
yamakujira
1972~83年に発表された短編を再編して2011年に発行した短編集。山小屋の娘と想いあう登山客の青年が失踪する表題作と、猛吹雪に閉じこめられたベテランアルピニストと大学登山部の確執を隠す「堕ちた山脈」を目当てに購入。他に、サラリーマンの悲哀を感じる「虫の土葬」、ホステスの探偵ごっこ「魚葬」、クズは老いてもクズと知る「燃えつきた蠟燭」、悪鬼が子供の仮面を被った「魔少年」、ボクサーの悪事をあばく「死海の廃船」を収録。人間の醜い魔性を晒しながら、それぞれの時代感も味わえておもしろかった。 (★★★☆☆)
2021/07/06
S.S.
全編を通して、「因果」が描かれている。この短編集は完全犯罪や不可能犯罪ではなく、我々の身近に存在する罪悪を扱っている。舞台は北アルプスやリング上など、その差こそあれ根本に存在する憎悪や嫉妬はどのような場所でもどのような場面でも通じる。そういった意味で森村作品の普遍性を感じた。
2020/12/15
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