マノン・レスコー (光文社古典新訳文庫 Aフ 13-1)
マノン・レスコー (光文社古典新訳文庫 Aフ 13-1) / 感想・レビュー
巨峰
しょうじきどうしようもない男と女の話で、考えが足りないなあと思いながら読んだ。それが恋の力なのかどうなのか。美とか容姿だけじゃないと思いながら、この主人公が彼女に言い寄る男たちよりも、どこか違うところを見つけていたらいいんだけどなぁ。最後の10ページくらいは良かったです。
2018/08/21
アキ
1732年に出版された約290年前の小説。マノン・レスコーはファム・ファタールの象徴のように言われ、古典中の古典だが、内容はほぼデ・グリュの独白と思慕でマノンの姿の描写は驚くほど少ない。むしろ主人公の浅薄さと執念深さが過ぎるように思えた。プレヴォは1753年に改訂版を出したが、当初長編小説の最終巻であった小説を、読者が「マノン・レスコー」と呼んで現在に至る経緯を知る。当時のカトリックの中心地フランスでは衝撃作だったのだろうが、あまり衝撃を受けなかったのは、現代の方が悪女の出てくる小説は多いからなのかな?
2020/02/16
帽子を編みます
何回か読んでいます。そのたびにイライラします。デ・グリュとマノン、特に語り手のデ・グリュのあまりの自惚れぶりにイラつきます。文中に私の優れた性質、才能、容貌、美男子、続きます続きます。いやあなた、学業も途中、神学も途中、何か成し遂げたことはありますか…突っ込み入れたくなること多数。マノンにも思うところはあるのですが、実際にもこんな方はいますね、お金のかかる美しい方、周りにいたら距離をとりたい二人です。若さの暴走、悲劇、やはり巻きこまれたくないです。やれやれだぜの気分です。あっ、真面目な感想はまた書きます。
2021/07/18
帽子を編みます
【フランス文学を読もう】18世紀、ロマン主義文学のさきがけとなった作品です。若き二人が恋の激情のために転落の道を突き進み破滅を迎える。恋の美しさ、激しさ、矛盾をはらんだ人物表現、転落、堕落していく様子、いくつものフランス文学の素になっているように思います。山場に次ぐ山場、読者はページをめくり続けてしまうことでしょう。マノンの最期、むしろ清らかで厳かな美しさを感じます。マノンの人物表現、無邪気で善悪にこだわらない聖なる悪女、フランス文学の一大分野となりました。古くさくはなく、手に取って損はない作品です。
2021/07/20
molysk
聡明で誠実な貴族の青年デ・グリュは、街で出会った美しき少女マノン・レスコーを見初め、たちまちその虜となる。二人はパリへと駆け落ちするが、天真爛漫で享楽を愛するマノンのために、身を持ち崩すデ・グリュ。さらにマノンの美貌が呼び寄せる男たちが、二人に不幸をもたらしていく――。美徳の有為な青年を、悪徳と不幸へと引き寄せる、情熱の力。筆者のプレヴォは、道徳的教育を執筆の意図と主張する。だがマノンの魅力は、当時の人々を熱狂させたのみならず、「宿命の女」を意味するファム・ファタールという主題を後世に残すことになった。
2023/01/21
感想・レビューをもっと見る