イタリア紀行(下) (光文社古典新訳文庫)
イタリア紀行(下) (光文社古典新訳文庫) / 感想・レビュー
Fumitaka
ローマ留学の後半部。英気を養ったゲーテは最後には出発を決めた以上「二週間前に発っていればよかった」(p. 407)とまで書いておりやる気が戻ったようだ。実際にこの巻では芸術家としての在り方や「美」についての議論が多くなっている。岩波文庫の方では入っていたかどうかわからないミラノ娘の肖像(p. 168)が掲載されている。しかしマッダレーナ・リッギの身上についてはやや文学的誇張も入っているらしい(p. 453)。ラファエロの骸骨が偽物らしいこと(p. 378)など周辺情報の注がありがたい。
2024/07/15
misuzu
飽くなき探求心。ゲーテほどの人でも、まだ学ぶ事がある。そのみずみずしさが、一文一文からほとばしってくる。羨ましいのは、カウフマンと親交のあった事。モーツァルトのオペラにも触れている。ピアノを学ぶ私にとって雲の上の存在のモーツァルトも、ゲーテがイタリアを旅していた時には存在していたのだ。ゲーテの好奇心に、必死になりながら付いていく自分を想像してしまった。これからフランス革命が起こると思うと、束の間のクリエイティブ休暇だったのだろうか。
2022/02/21
yokkoishotaro
下巻というか、第二次ローマとなってだいぶ落ち着き、感性の鋭さが際立つ文章になってきたのではないだろうか。 時間がそうさせたのか。しかし、そんな時期は短かったようで、心がローマから離れていてしまったようだ笑 ゲーテの人間性が垣間見えた。
2023/11/30
futhork
下巻の方が、上巻よりも面白いと感じられたのは、ゲーテ自身が、自分を発見していく感覚が、詳かに書かれているからか。それとも、戯曲や長編小説執筆について、意気込みが書かれていることに、心を動かされたからだろうか。よい本だった。
2023/06/05
takataka
★★★★☆下巻はイタリアでの体験をリアルタイムで伝える「通信」と後から冷静に考察する「報告」の二段構えとなっている。なんだか読んでいてサバティカルイヤーで自身の研究を現地で没頭している大学教員と同じじゃないかと思ってしまった。
2023/02/25
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