天神のとなり (光文社文庫 こ 31-2)
天神のとなり (光文社文庫 こ 31-2) / 感想・レビュー
はつばあば
登場人物が鏑木さん。鏑木連さん以来鏑木姓が気になってつい・・。やっぱり鏑木姓は素敵やわ。元大学の准教授・・と云うことはまだ若い、のに枯れた部分になんともいえぬ色気がある。しかも相棒がまたイイ男の子。ヤクザに拾われる医者や鏑木のような高学歴の男。実があるのか無いのか・・キャラクターがよけりゃそれだけで満足しましょ。欲をかいてはイケマセン。次作「塔の下」は明日にでも(^^♪
2016/06/29
GAKU
錦糸町でヤクザの使い走りとして、トラブルの調査や処理をしている元大学の准教授、鏑木を主人公とした連作短編集。題材に興味を持ち初めて読んだ作家さん。国際謀略小説を得意としている五條さんとしては、こちらは異色の作品となるのでしょうか。勿論ヤクザを始め、アウトロー達が登場するのですが、血生臭いアクション場面などは殆どなく、どちらかというと淡々とストーリーが展開して行く感じでした。鏑木のアシスタント京二や、風俗嬢のエイコなども根は良い人達で、読む前のイメージとは違いノワール感覚が殆どない作品でした。
2016/05/21
ミスターテリ―(飛雲)
黒川先生の疫病神シリーズが、ハードなやくざ小説であるならこちらはソフト路線。やくざにソフト路線なんかあるわけないが、この作品では暴力や派手なドンパチの場面は一切ない。主人公が元大学准教授の鏑木、傷害の前科を持ち、いまは世話になったやくざ白樺の下で、お抱え探偵みたいな立場で、やっかいごとを頼まれて、やくざが絡む事件を解決していくのであるが、その手腕が鮮やかで、どの短編も人情味あふれる話ばかり。この鏑木、白樺コンビまだまだ読み足りないと思っていたら、やはり続編が、あわせて違う作品も是非読んでみたい。
2021/01/29
Rin
今回も、鏑木さんに京二くんと魅力的なメインの人物に、青木さんにエイコさんと脇を固める人たちも魅力に溢れていました。裏の世界ともいえる所に落ちてしまった鏑木さんはそれでも、どこか優しくてヤクザな世界から出て行けたらいいのに、どこか今の人間関係に幸せというか満足感も覚えてる。そんな人間関係はある意味恵まれているなぁと読みながら感じてしまう。雇い主の白樺さんも、どこか憎めない人物で、続きの「塔の下」も楽しみ。五條作品にあるようなテロや革命、難民問題などは今回はないけど、読みやすい短編形式で軽く楽しく読めました。
2015/08/22
RIN
五條作品の中では比較的優しい世界。ヤクザ同士の小競合いはあっても、日本人としてのアイデンティティをぶん殴られる様な厳しさはない。元大学准教授で今はヤクザの使いっぱしりの鏑木を始め、見た目も性格も申し分ないのに訳あって昼の定職に就かない京二、どうしても影を拭えない全盛期をとうに過ぎた風俗嬢エイコ。現状への諦めと明日へのささやかな希望を持った人々が、足掻きながら今日を必死に生きている。素直じゃない横暴な若頭の白樺もきっと。思わずコートの衿を合わせたくなる晩秋の気配。温もりと淋しさが頬を撫でる、そんな本だった。
2022/07/22
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