煙突の上にハイヒール (光文社文庫 お 46-1)
煙突の上にハイヒール (光文社文庫 お 46-1) / 感想・レビュー
おかむー
SF?いやこれは確実に今の延長線上にあるテクノロジーや物事を描いた短編集。『よくできました』。表題作の背負えるヘリコプター“Mew”は実現するとすれば一番の壁は法整備かな。この先にあるものがタケコプターだと考えてみるとほほえましい。『カムキャット・アドベンチャー』は一番実現に近い…というより今でも普通にできるんじゃね?『イブのオープン・カフェ』のタスクは完全にロビのビジュアルでイメージしました。『おれたちのピュグマリオン』あれよあれよという展開の先にあった結末には苦笑い…というよりどこかちょっと怖い。
2015/01/20
yu
ちょっとだけ未来の世界を描いたSF短編集。 どのストーリーも、ほんの少し未来にはありえそうな世界。 「イブのオープン・カフェ」が切なかった。『僕もあなたも、償う機会を持ちません。』タスクのセリフが心に残る。人を助けようとしてできなかったタスク。人を殺そうとしてできなかった未知。この二人が再び出会うことを祈りたい。「白鳥熱の朝に」は、今すぐ目の前で起こっても不思議ではないストーリー。狩野と芳緒の心の傷が完全に消えることはないけれど、二人で幸せに向かってほしい。
2013/12/23
hit4papa
SF五編が収められた短編集です。どの作品も画期的なテクノロジーは用いられておらず、ハートウォーミング系の作品があつめられています(作品のタイトルがキュート!)。のら猫にカメラをつけたらステキな女性が写っていて「カムキャット・アドベンチャー」、見知らぬロボットとのオープンカフェでの会話「イブのオープン・カフェ」、パンデミックで多くの人が死滅した後、法律により強制的に扶養者が決められる世界「白鳥熱の朝に」がベストでしょうか。特に「白鳥熱の朝に」は、女子高生の父となってしまった主人公の物語で、ホロリときます。
2019/01/01
kana
表紙のイメージそのままの、随所でセンスの光るギミックがきいた、ポップでオシャレなプチSF短篇集でした。その軽さが爽やかで心地よく、脳内BGMはMr.Childrenの「エソラ」。表題作のタケコプターならぬ1人乗りの空飛ぶ機械、Mewは車に乗らず、ジェットコースターも苦手な私もとても欲しいと思いました。これで出勤したい。それから猫にカメラをつけて、彼らの世界を観察するのも楽しそうです。ただ私が1番好きな作品は中でも最も理解しがたい、近未来の愛の形を描いた「おれたちのピュグマリオン」だったりするのですが。。
2013/11/30
ざるこ
5篇。ランドセル型ヘリや極小カメラ、麻雀や介護などニーズに合わせ進化するロボット開発。短くても著者作品は登場人物のドラマがしっかり描かれてて好き。BL風味×アンドロイドなんておもしろい。「イブのオープンカフェ」雪降るイブに用済み介護ロボットと失恋女が出合うせつなくも優しい物語なんだけど、二股男が私自身の黒歴史を想起させムカムカ。主人公の思考の情けなさなど似過ぎてて改めて自己嫌悪。他とは毛色が違う「白鳥熱の朝に」はまさにコロナ禍。800万人の死者を出したパンデミック。芳緒の慟哭にもし自分なら?とゾッとした。
2022/09/09
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