八月の魔法使い (光文社文庫 い 35-9)
八月の魔法使い (光文社文庫 い 35-9) / 感想・レビュー
🐾Yoko Omoto🐾
石持氏はキレッキレの論理をぶちかますキャラを据えるのが相当好きなんだなと改めて思う(笑)今作では「カミソリの松本」なぞという異名を持つ切れ者係長が事件のイニシアチブを握っており、そこにまた自身の論理的思考で対抗しようとする主人公や、その理論武装を更に固めてやろうという上司に同僚も参戦。まさにどこを取ってもロジック三昧な一作だ。社内の然るべき検閲部署を通過せず、その事実を誰も把握しない「工場事故報告書」について“誰が何の目的で”のみに主軸を置き、まさにそれ一本で物語をラストまで引っ張る牽引力はお見事。→
2015/09/03
ジンベエ親分
サラリーマン小説や警察小説は苦手だ。自分が組織の中で仕事をしているので、なんで余暇の時間にそんな組織の面倒くささを味あわねばならんのだ、と。だが、これは最上級に面白かった!取締役が集まる会議室であるはずのない事故報告書が飛び出てしまい、同時に同じ報告書を総務部長に判子をもらいに行った一社員の拓真も目にする。「コロシアム笑」と化した会議室で、役員たちが次々と本性を露わにしてボロを出すたびに、会議室に単なるオペレーターとしている美雪が「○○専務、失脚」と心の中で合掌するのが爆笑(笑) 痛快な夢物語。
2018/01/16
hnzwd
存在しないはずの事故報告書がなぜ作成されたのか、に仮説と推測を積み上げ積み上げして真相に近づいていく本作。容疑者が限られているので意外な真相というわけではありませんが、ロジックの展開は見事。対決シーンが延々と続くのもスリリングで素晴らしいの一言です。満足。9マイル〜、毒入りチョコレート事件、傘を折る女、50円玉20枚の謎、麦酒の家の冒険、辺りが好きな方にはオススメです。
2013/09/28
こにゃ
図書館で何度か見かけて、やっと借りれた作品。初石持浅海さんです。経験から「それはないわぁ…」と言う場面は多々ありましたが、そんな事は抜きにして、ロジックの組み立てと、綿密さに驚きました。時々頭が付いて行かなくなりそうな所もありましたが、ぐいぐい引き込まれて読み終えました。頭がキレ過ぎるのも、考えものですね。。少しずつ、他の作品も読んでみようと思います(^ー^*)
2013/07/04
rio
弛緩した雰囲気の8月のある日、報告されていない「工場事故報告書」の存在が波乱を呼ぶ企業ミステリー。報告書は何処から出てきて、どの様な内容なのか、また誰が黒幕なのか、先が気になり惹き付けられました。主人公が、少ない情報から真実に迫る過程が面白かったです。役員会議の雰囲気や、登場人物の言動から仕事に対するスタンスを考えさせられる1冊でした。
2012/10/29
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