痺れる (光文社文庫 ぬ 1-1)
痺れる (光文社文庫 ぬ 1-1) / 感想・レビュー
yoshida
じっとりと心を捕まえられるような短編集。特に「林檎曼陀羅」、「ヤモリ」、「沼毛虫」が好みです。どの短編も不穏。読了した今は毒気にあてられたような心持ちに。好みは別れると思うが私は好きですね。パターンとして霧の中を歩くように話が展開される。そして徐々に不穏な因子が組み込まれる。最後に衝撃があり、伏線を確認しに頁を戻る。特に「沼毛虫」の業は衝撃的だと思う。「ヤモリ」の最後も絶句。米澤穂信さんの「満願」や「儚い羊たちの祝宴」にも近いほの暗さがある。沼田さんの作品は力がある。だが、引力が強すぎて続けて読めない。
2017/12/24
ちょこまーぶる
読後に良い意味で「フ~」と力が抜けた一冊でした。何故かというと、作家さんの9編の世界観に緊張していたからだと思いますね。強い恐怖心が湧いたわけではないのですが、心の憶測をギュっと握られているような恐怖心(うまく表現できません)を常に感じながら読みました。この種の内容の本は、短編集が良いですね。分厚い一冊だったら心の保持が続かないかもしれないから1編読んで小休止しながらの読書をおススメします。好みだったのは「レイピスト」と「沼毛虫」かな。そして、この本に引かれた最大の理由はカバー写真。何て素晴らしい・・・。
2017/01/07
ミカママ
うわぁぁぁ、いやぁぁぁ。読んでいる最中も、読後も気持ちがぞわぞわさせられること、間違いなし!とくに最終話の猫の話はまともに読めませんでした。さすが沼田さん、いやミスの女王(と勝手に認定)だわ。でもまた読んじゃうんだろうなぁ。
2014/01/21
ホッケうるふ
全編面白くあっという間に読み終えた。哀しい真相の「クモキリソウ」シュールに笑える「普通じゃない」予想の上を行く結末の「ヤモリ」「TAKO」「エトワール」。男たちからの接触・介入・暴力的行為あるいは暴力そのもの。これらを大半のヒロインは拒絶どころか受容してしまう事で自身の闇が浮かび上がったり闇に堕ちたり。中には「テンガロンハット」のように受け入れ未遂で終わり後年変わらぬ状況のまま未練すら漂わせるヒロインも。男の自分にも遡求力抜群でイヤミス・ホラー・サスペンスというジャンル分けをあえてしたくない独自の世界。
2014/05/14
紅はこべ
植物や虫絡みの話が多い。この作家は『ユリゴコロ』以来。『ユリゴコロ』は決して読後感は悪くなかったが、この短編集は殆どが気持ち悪い。特に男が。その中でも「沼毛虫」のギッツァン、「エトワール」の吉澤。女は満ち足りていない。男が女の生活に侵入って設定が多し。「テンガロンハット」は「銀の仮面」パターンか。
2019/11/02
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