大絵画展: 長編推理小説 (光文社文庫 も 20-1)
大絵画展: 長編推理小説 (光文社文庫 も 20-1) / 感想・レビュー
るーしあ
序盤から随所にちらつく大絵画展。てっきり復讐の舞台だと思っていたら爽やかな落とし所に辿り付く。しかしここまでの道程が長い。薀蓄も長いしツッコミ所も満載。まず絵画強奪の金額が破格。数千万円の強奪でいいはずなのになぜ何百億の犯罪にまで膨らむのか。ルパン三世じゃあるまいに。さらにここまでのスケールの犯罪の割りに計画が杜撰。最後は車で壁に突撃って、死ぬぞ。そしてこんな犯罪がどうして優秀な日本の警察に捕まえられないのか。気持ちよく騙された感がない。そう考えると序盤の大浦や茜が詐欺に遭うあたりはまだ読みやすかった。
2016/05/02
KAZOO
最初に、ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードへと書いてあるので、ああこれはあの映画に似ているのかなあと思いましたら、映画の場面そっくりの箇所が出てきました(私の好きな映画ベストスリーに入りますので)。ただ題名から期待したので絵画についてのことをもう少し触れてもらってもいい気がしています。最初のほうはオークションが出てくるので、「ギャラリー・フェイク」のようなものを期待したのですが、詐欺被害者が出てきたところからあまり絵画のことが少なくなりました。まあエンターテイメントとしては楽しめました。
2015/12/10
おかむー
この作品に興味があるかたにまず一つ注意。読むと美術品と呼ばれる絵画の価値にものすごく不信感をもつことになりますよ(笑)。とはいえとても読みやすい筋の通った良作であることは間違いない。『たいへんよくできました』。バブルの時代に高額で日本人に競り落とされたゴッホの「医師ガシェの肖像」。バブルが弾けた2002年、詐欺に遭い追い詰められたふたりの男女が「医師ガシェの肖像」を盗み出す計画を持ち掛けられる。美術や背景の説明に力が入り過ぎている嫌いはあるものの、大規模なコンゲームを無理なくまとめ上げた展開に脱帽ですよ。
2016/05/22
夜長月🌙@新潮部
不誠実な日本の画壇の在り方には考えさせられるものがありました。よい絵が正当な評価を受けることが難しいのはかつて印象派の絵が最初は酷評されていたことからもわかります。本文中で絵が100億円以上で売却されるゴッホでさえ生前には1枚しか売れなかったのです。(1990年日本人が124億円で落札(絵画として世界第4位の落札額))。そして絵画を時として投機対象としか見ていない日本人の文化レベルの低さを皮肉ってます。本筋から離れてしまいましたが痛快なコンゲーム小説です。このタイトルの意味するところになるほどと。
2019/09/14
Bugsy Malone
絵心が少ない我が身ですが巻頭の「ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードに捧ぐ」を見たからには読まずにはいられない。ゴッホの「医師ガシェの肖像」を巡るコンゲーム。実話をベースにした絵画を巡るバブル期日本経済の狂騒が良く伝わってきました。かの大傑作映画に対するオマージュも抜群。加えて心も暖まる読了感。読んで良かった。大変面白かったです。
2017/10/13
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