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この国。 (光文社文庫 い 35-10)

この国。 (光文社文庫 い 35-10)

この国。 (光文社文庫 い 35-10)

作家
石持浅海
出版社
光文社
発売日
2013-06-12
ISBN
9784334765781
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この国。 (光文社文庫 い 35-10) / 感想・レビュー

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🐾Yoko Omoto🐾

「日本ではないが日本によく似た仮想国」を舞台にしたシニカルなインテリミステリー。「イキガミ」や「百年法」もそうだが、思想や法律、国家方針などを作者が自由に創作できるだけにストーリーに幅を持たせやすいのか、読者は設定に否定的な雑念を持たずに読むことができる。番匠というキャラのクールな知的さが際立っていて実に魅力的。心理的な側面から人を死に追い込む「ドロッピングゲーム」が抜けて面白かった。ただ最終話の攻防が漫画過ぎて、仮にも反勢力との最終決着でこれは…とやや苦笑気味に。これもまた石持氏の持ち味なのか…(笑)

2013/07/21

アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯

日本に似た一党独裁の非戦平和国家。娯楽としての死刑執行、小学校卒業時に決まる将来の進路、売春の合法化。治安警察の番匠と反政府組織の松浦の頭脳戦を軸に描かれる。一党独裁とはいえ軍事政権ではなく、言論の自由はあり平和で失業率が低いとなれば、就職難でブラック企業がはびこる格差社会の今の日本よりもしかしたらいいのかもしれない……なんて読みながら思ってしまった。

2016/08/08

ジンベエ親分

ミステリーとはいえ、これだけ意図的な設定をされると何らかの政治的指向を感じる。本書の舞台は日本とそっくりだが、維新後一党独裁で国防軍はあるが戦争は一度もしたことがなく、教育費は大学まで無料、売春は実質的に国営、そして公開処刑がある国。そんな国の治安警察のエリートと反政府組織の戦いを連作短編で描く。謎解きに関してはいつもの石持らしい切れ味は薄い。特に最初と最後は「テロをどう防ぐか、如何に目的を達するか」が焦点なのでサルペンスフルではあるがミステリアスではない。それにしてもこの国はディストピア?ユートピア?

2018/01/14

rio

一党独裁の管理国家である『この国』の治安警察官・番匠と反政府組織戦略家・松浦の頭脳戦を描く連作短編集。日本に似た日本ではない『この国』の制度設定が興味深く面白かったです。制度の是非はともかく、立場の違いによって争う番匠と松浦のその場の状況を勘案して遂行する攻防戦が緊迫感溢れ印象的でした。また二人の争いだけでなく、制度の異常性が浮き彫りとなるその他の短編も味を出していて良かったです。

2013/07/08

きっしぃ

タイトルだけで選んだ【令和一冊目】一党独裁のこの国の話。死刑が公開され国民の娯楽となっていたり、小学校卒業後国に進学先を決められ、それにより人生が決まってしまったり。そんな国での警察官番匠と、反政府組織の松浦の知力の攻防。騙し騙され、どちらが勝利するのか、そしてこの国の行き先は…。この国は、日本と比べて良いのかな?悪いのかな?自分の国のことを考えると機会にはなりました。

2019/05/01

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