雨月物語 (光文社文庫 い 43-5)
雨月物語 (光文社文庫 い 43-5) / 感想・レビュー
sin
岩井志麻子が自ら姑獲鳥と化して、物語の端々で「男は不実、男は不実」とかしましいが、女の視点で語り直された雨月は物語に男の愚かさを読み取って、敢えて女の立場で物語ることで、却って女の妄念が際立つようで興味深い。情念に狂う立場では男も女も愚かしい。「吉備津の釜」の執念は少し筆を変えれば「牡丹燈籠」か、愛憎は表裏一体…。
2018/08/06
はつばあば
小学生の頃、先生が話を聞かせてくれた雨月物語の数々。6年生になった時本として上田秋成を読んで美しいけれど怖いと思ったものだ。今も、女でありながら女が怖い。口の巧さ、嫉妬、ウワベの優しさ・・・。先生にはそれらを総称して「外面如菩薩内面如夜叉」と云うのだと教えてもらい、忘れられない記憶となっている。男が、女がと云う前に八百万の神の教えが怪談を産むのだろう
2015/03/08
ちょろこ
寝物語のような、うっとりする…一冊。女性の一人語りでつづられているところが夢に誘うよう…。雨月物語、読んだ記憶はないけれど…岩井さん独特のおどろおどろしさ、妖しさ、美しさ、母性に彩られて、なんだか一気に身近な作品になった気がする。登場する女性たち…美しいゆえに…一途で…嫉妬深くて…うんうん、同じ女性として、なんとなく共感できるなぁ…。
2015/02/23
真理そら
上田秋成の生母のねっとりした語り口調が雨月物語の怖さに合うかどうかは個人の好みかもしれない。作者の男性観が窺われるような男の描き方が興味深い。個人的には『白峯』『青頭巾』がいい雰囲気にまとまっていたと思う。
2018/10/31
花林糖
短篇9話。女の執念怨念妄執を独特の文章で描いている。体にまとわりつく嫌な感じが妙に心地良かった。お気に入りは「菊花の契」「吉備津の釜」「蛇性の婬」。<白峯/菊花の契/浅茅が宿/夢応の鯉魚/仏法僧/吉備津の釜/蛇性の婬/青頭巾/貧福論>
2017/07/31
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