リリスの娘 (光文社文庫 さ 30-2)
リリスの娘 (光文社文庫 さ 30-2) / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
'奇才(鬼才?)'坂井さんが思いのまま描いたと思われる官能連作短編集です。謎めいた一人の女性「凛子」の半生を綴り、各章ごとに歳月が流れていきます。後半は世にいう'美魔女'となった彼女ですが、容姿を表す描写は坂井さんならではの描き方です。やはり書ける方はなんでも書けてしまうのだなぁと思わずにはいられない作品でした。誰がどう読んでも疑いようのない?ストレートな官能短編集なのですが、読後になんともいえない不思議な寂しさと、美しきものが失われる儚さを与えられ、キツい切なさが残ります。坂井さん、おそるべし!ですね。
2017/11/10
さてさて
“ユダヤの伝承において男児を害すると信じられていた女性の悪霊”を指す『リリス』という言葉。そんな言葉が暗示する存在の降臨を思わせる寺島凜子。この作品では、凜子がさまざまな男たちを弄ぶかのように官能世界に誘う姿が描かれていました。容赦のない官能表現の頻出に、絶対に電車の中で読んではいけないこの作品。しかし、後半の物語を読み進めるに従って、この作品の本質が官能ではないことに気づくこの作品。官能描写と切なさの絶妙な塩梅の物語の中に、極めて幅の広い作品を生み出される坂井希久子さんの魅力を実感した納得の一冊でした。
2023/08/17
相田うえお
★★★☆☆20008 連作7短編の作品。《黒猫を拾ったんだ。首の後ろの骨が浮くほど痩せっぽちで、目ばかりが大きい。名前は、リンと呼んでいた。リンはよく鳴き、小さな舌で俺を舐めた。情を移せば辛くなるのは分かっていたんだ。それでも俺は、あいつを可愛がっているのが幸せだった。》猫好きの当方は、「わー!分かる〜!だよね〜。大きな目で見つめられたり、小さな舌で舐められたら可愛くて堪らないもんなぁ〜。同感!」なーんて思って読んでたら「ふぎゃ〜!リンって、人じゃん!黒猫は お店でのコスチュームじゃん!やらかしたな」
2020/01/15
じいじ
『妻の終活』を初読みした坂井希久子の3冊目は、官能連作短篇集。今作は、残念ながら私とは相性が悪かったようです。ストーリーが凡庸で、はちゃめちゃ過ぎてついていけません。性描写もワンパターンで途中を飛ばし、読む気力も萎えました。こういう異常性欲のサディズム的な官能小説は、男性の官能作家に任せておけばいいでしょう。女性作家に書いてほしい性愛小説は、オンナとオトコの心情、とりわけ女流作家しか描けない、女の心中の描写を期待しています。
2020/12/05
takaC
希久子さんも多才だな。通勤電車で読むのはかなり憚られた。何人か出てきた男が凛子の前では一様に同じ行動なのは希久子さん流の皮肉かい?で、佳澄さんは隆文くんの娘ってことだね?態とはっきりさせないようだが。
2018/05/30
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