やすらいまつり (光文社文庫 は 34-1)
やすらいまつり (光文社文庫 は 34-1) / 感想・レビュー
じいじ
京都の六つの〈まつり〉になぞって、中年の男と女の愛憎を切々と描いた官能短篇集。たった一度の浮気が、戻れない不倫の恋に…。しかも、夫の相手は妻の親しい友人だった。男の不条理の恋の結末があまりにも切ない、表題作の【やすらいまつり】-死者の魂を祈る祭-が好きだ。ここに登場する京都の女は、和服の似合う淑やかさの中に、一途で芯の強さを感じる。この作品は、男女の欲望が先走り気味で、性愛描写も濃い目の直球勝負の作品が多かった。それにしても、花房さんは男を描くのが巧いね。男の心情、性への本音を実によく把握しています。
2016/06/21
もぐたん
京都を舞台にした短編集。花房作品の中でもひときわ官能的な反面、表現にあまり幅がないようで、少し飽きてくるかな。昭和っぽい雰囲気が新鮮な人もいるだろうし、どこか懐かしさを感じる人もいるでしょう。どの話も面白くないわけではないですが、何か物足りなさを感じます。安っぽさというか、軽さというか。次はもう少ししっとりした叙情的な長編が読みたいです。★★☆☆☆
2022/05/28
まさきち
【読メエロ部】京都独特のお祭を舞台に、主人公が色白で色香溢れる京都の女と交わる6編を集めた短編集。それぞれの女性が寂しさや恨みなどを抱えていて魅力的なものやゾクッとするもんあって楽しめました。また文体も一見淡泊でサラッとしていながら、コトの濃密さをしっかりと思い浮かべることができるもので花房さんにはまりそうな予感、でも難点としてはコトの流れがどれも似たように感じたこtでしょうか。
2018/02/11
mr.lupin
花房観音さん初読み。官能小説とは事前に知っていたがまさにすばりそのものだった。しかし京都を舞台に六つの祭りを背景に、激しく燃え上がる欲望の炎に包まれながら、京女との愛憎を艶やかに優美に描いた短編集楽しむ事ができてた。また女性が話す京都弁、これもまったり穏やかで情緒豊かにこの作品を更に引き立てているようにも思えた。 ☆☆☆☆★
2019/06/18
はつばあば
こんなに色っぽい物を朝から読むのもなんだけど、女の厄、心のひだ、情の深さを祀りと絡めて、男の身勝手さとおののきが五感を通して伝わってくる。・・・しかし女を卒業したとも云える年齢だから読めたけれど、若い男性が読むには刺激が強過ぎる。渡辺淳一の「失楽園」でさえ読めないうぶな婆が、清水の舞台から飛び降りた気分です。一皮剥けました。
2015/06/23
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