風化水脈 新装版: 新宿鮫8 (光文社文庫 お 21-23 新宿鮫 新装版 8)
風化水脈 新装版: 新宿鮫8 (光文社文庫 お 21-23 新宿鮫 新装版 8) / 感想・レビュー
しんたろー
8巻は派手な事件はないので好みが分かれそうだが、歴史や地理を丁寧に紐解いて、シリーズで最も新宿の匂いが漂う。訳アリ老人・大江とヤクザ・真壁の二人を描きつつ、鮫島の生き方を問い詰めるハードボイルドでありながら、真壁とその女・雪絵とのラブ線を「演歌」のように彩り、晶と鮫島の関係さえも浮き彫りにする「愛の佳作」だと思う。前作で殆ど登場のなかった桃井、薮の登場が多いのも嬉しい。事件と人間が繋がり過ぎな感も若干あるが、それも「新宿だから」と思わされてしまう説得力もある。鮫島の矜持も鮮明になって、次巻の活躍も楽しみ♬
2020/07/23
k5
春の警察小説祭りその①。初出が新聞連載だったこともあって、キッチュさが魅力のこのシリーズにしては、いたって真っ当なハードボイルド。あと中年になると美味しい街の歴史も楽しめて名作ですが、ちょっとエンジンがかかるのが遅いうらみはあります。シリーズの中でも会話の美しさは群を抜いているかもで、桃井の「むずかしいところにきたな」というような言葉遣いには痺れました。
2022/04/03
kei302
シリーズ順番関係なく読破中。『絆回廊』は辛くて読めないけど…。第8弾は派手さがなくて、情の部分が濃い。大江老人、真壁、雪絵さんと母親、さり気なく登場しているのに影響大の深見。タイトルの風化水脈の意味が深い。あの井戸が! 最後に伏線回収の手法、大沢作品ではめずらしいかも。すっかり忘れてたので感動したよ。
2022/11/24
鍵ちゃん
殺人事件で服役していた真壁が出所した。だが、真壁が命がけで殺そうとした男・王は、藤野組と組む中国人組織のボスとなっていた。一方、高級車窃盗団を追う鮫島は、孤独な老人・大江と知り合う。大江に秘密の匂いを嗅いだ鮫島は、潜入した古家で意外な発見をした。前半は新宿がどうとかとグタグタだったが、後半から一つ一つの事柄が結びつき一気に結末へ。誰が悪党かはわかりながら、取り巻く人達の思いが面白かった。今回は700頁超えにも関わらず殺人が少ない分、心に染みた内容でした。
2022/09/07
ねこまんま
そんな偶然ありかいな?と思うほど都合の良い展開ではあるけれど、真壁のキャラが素敵すぎて好きな巻です。新宿の歴史や、過去の深い因縁が巡り巡って現在の事件に繋がっていきます。だけど真壁は本当に組抜けできるんだろうか?
2017/10/03
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