終末の鳥人間 (光文社文庫 す 12-1)
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終末の鳥人間 (光文社文庫 す 12-1) / 感想・レビュー
緋莢
瀧井朝世『あの人とあの本の話』で知り、興味を惹かれて、手に取りました。化学プラントで潤う北陸の田舎町が舞台。高校生の俊晴とエースケは、ひょんなことから物理教師の日暮に弱みを握られ、人力飛行機同好会に参加させられ…というストーリー。同時に、〝北”はミサイルや核をチラつかせ 中国は日本の領海を侵犯する中、強気な姿勢を見せる首相が支持を集め、徐々にきな臭さが漂い始めます。嫌々ながら人力飛行機作りに関わる俊晴とエースケですが、同好会の仲間や協力者が増え、徐々に積極的になっていきます(続く
2019/09/14
zero
前半は「ウォーターボーイズ」を彷彿とさせるバカな高校生の青春部活物語なのだが、徐々に日本と主人公達の周囲に暗い影が落ちてくるリアリティが秀逸。コメディタッチのホラー小説作家と思っていたが。
2015/11/29
takeapple
目的も希望もなく、高校生活をおくる俊晴が、ひょんな事から人力飛行機同好会創設メンバーとなり、鳥人間コンテストをめざすことになった、部活動青春小説なのだが、時代設定が凄い!2012年に書き下ろされたということだが、カッシーという政治家が出てくるんだけど、先日までどこぞの市長をやっていた、弁護士上がりの劇場型政治屋さんと某首相を合わせたような人で、そいつがうまいこと世論を煽って政権を獲って行くという、もしかして数年後の日本かというところなのだ。個人的本年度ベストワン!最近出た『終末の鳥人間』も読みたい。
2015/11/26
840ossan
最初は変人教師とやる気がない生徒の人力飛行機クラブの話が続くが、きな臭いエピソードや地方の嫌な面を露わにしたエピソードが挟まれる。後半一気に戦時中に突入するが、日本人の独創性の無さが自ら奈落へと落ちていく姿がえがかれていく。荒削りで思いが空回りしている部分もあるが力作だと思う。
2021/01/02
デンティスト
なんだか能天気な高校生活から始まってどうなるのかなと思いましたが、人力飛行機同好会に無理矢理入会させられる辺りから、どんどん話が進んで行きます。今の社会状況にそっくりで、どんどん戦争に突っ込んで行く日本。人力飛行機同好会のメンバーは周りの人も巻き込んで戦争を阻止しようと頑張る。少し切ないですが、とても凄い小説です。圧巻でした。
2016/04/03
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