時代まつり (光文社文庫 は 34-2)
時代まつり (光文社文庫 は 34-2) / 感想・レビュー
ナイスネイチャ
京都の祭を舞台とする、京都の女との官能的な短編集。「京おんな」は京都の祭そのもの。千年以上権力の執着と誇りを持ち、華やかで惹きつける顔と絶対に寄せ付けない秘められた裏の顔を持つ京都の顔。官能的な部分が始まるとイマイチだったでしたが、そこまでの過程と結末は良かったかな。
2015/10/21
ミカママ
久しぶりの花房さん。ああああ、もうため息しか出ない。この感覚は女性じゃないと、いや花房さんじゃないと描けないよね。一番のお気に入りは、やっぱりというかなんというか「七夕まつり」ん?1年に一度にだけ、七夕のころの逢瀬?どっかで聞いたことがあるような(苦笑)そうだよね、子どもが絡んできたら、不倫のオトコとオンナはいっしょになれない。これが最後、と決めたふたりの逢瀬に思わず涙がにじんでしまった。「忘れへん」「俺も、忘れないーだから幸せになってくれ」ふたたび、あああああ。
2015/11/14
じいじ
京都の歴史ある六つの「まつり」を題材にした、京おんなの激しい悦楽の恋の官能短篇。恋には喜びや悲しみ、孤独が伴うもの。著者はこれらの感情をセックスを手段にして表しかったのだろう。各編それぞれ人物設定に変化をもたせて描いているので、話の筋は厭きない。つぎの2編がいい。年一度の逢瀬は七夕の日に。「かぞくで いつまでも いっしょに くらせますように」短冊に込められた一人娘の願いは切なく重い【七夕まつり】。亡父が愛した京の女。時代まつりの夜に男の面影を残す息子に遭遇。親子二代の男によせる激しい女の情念【表題作】。
2015/11/20
まさきち
京都の祭りを題材にした6編の官能話を集めた短編集。行為の最中の京言葉もいいが、その後に漂うペーソスもまた魅力のひとつで、花房ワールドを思いっきり楽しめた一冊でした。
2021/06/16
HMax
「時代の流れを過去のものとせずに、ただそこにあるものとしていきながらえさせている街」、京都を舞台にした6つの祭りの物語。まつりの後の物悲しさに後ろ髪を引かれるままに、ひな祭りの今日、読了。節分まつりの結子、「見るだけやなく、たしかめてや、ほんもんを」、こんな女性は本の中だけでしょうけど、やはり、読むだけやのうて、確かめたい。
2022/03/02
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