土蛍: 猿若町捕物帳 (光文社文庫 こ 34-7 光文社時代小説文庫)
土蛍: 猿若町捕物帳 (光文社文庫 こ 34-7 光文社時代小説文庫) / 感想・レビュー
🐾Yoko Omoto🐾
猿岩町捕物帖シリーズ5作目。時代小説はほぼ読んだことが無いに等しかったのだが、こんなに面白いとは!!と新鮮な驚きで一杯になった。現代に置き換えると、警察と舞台役者と風俗嬢たちの何とも殺伐と下世話に見える世界の物語だ。それがこと江戸時代に背景が移れば、粋でいなせで人情味溢れる人物たちが息づく物語に生まれ変わる。美形の同心“千蔭”を中心に、遊女や女形など特殊な環境にある登場人物が魅力的で、時代ならではの謎を多分に含む展開はミステリ好きも大満足の内容だ。マイベストは表題作の“土蛍”と“むじな菊”。面白かった。
2016/04/03
りゅう☆
長屋の差配人銀治から長六の女房良江の兄が無心に来るという相談を受けた千蔭。ある日、銀治が殺された。女の所に通う長六、身重の良江、そして兄との関係と真相に驚き。/髷を切り取られる事件が続く。一方、賭博借金の兄が妹を吉原に売ろうとする。梅が枝の元で働く妹に賭博を辞めると言って金を返した兄が失踪。この二つが繋がる結末に驚き。/巴之丞の中村座で役者が首を吊った。そして梅が枝の身請け話が進んでるという。あと2年もすれば年季が空け、自由の身になるのになぜ?そこに役者の死の真相と繋がることに驚き。男女の情愛が絡み合い→
2023/12/07
greenish 🌿
(単行本で読了)長屋の差配人殺し。芝居小屋での変死体。青柳屋の遊女・梅が枝も巻きこまれた吉原の火事。背後にある男女の相剋を、同心・玉島千蔭はどう解きほぐすか?「猿若町捕物帳」シリーズ第五弾 ---前四作に比べ、若干盛り上がりに欠ける感もあるけど・・・同心・千蔭の慈愛に満ちた誠実さ、人の心裡への深い洞察は健在!《うまい部分を食い散らかしても腹いっぱいにならぬ男と、手に入ったものだけで満たされる男》人の幸せとは斯くも計り難い。求め過ぎた分だけ空疎になるのかも。梅が枝と千蔭の距離も縮まり・・・次作に期待。
2016/03/30
ゆきちん
猿若町捕物帳シリーズ⑤もう、安定のおもしろさ。ミステリーと人情物のバランスがよくて、表現というか言い回しが粋ですてき。決してハッピーではないけれど、それがいい。今回も堪能しました。新刊が出るのを待ちます。
2016/11/30
したっぱ店員
文庫化を待ち焦がれてた猿若町シリーズ。ミステリ部分はもちろん、粋で情け深い梅が枝などのキャラクターが効いていて奥行きの深さを感じさせる。好き。おたつちゃんに接する千蔭がほほえましい。雰囲気の違うラストの短編、切ないうえにちょっとした驚き。上手いなあ。また続きを楽しみに待たなきゃ。
2016/07/10
感想・レビューをもっと見る