刹那に似てせつなく 新装版 (光文社文庫 ゆ 3-9)
刹那に似てせつなく 新装版 (光文社文庫 ゆ 3-9) / 感想・レビュー
りゅう☆
響子は娘を死に至らしめた男を殺害。そんな響子をなぜか逃亡に手を貸してしまったユミ。実はユミも罪を犯し、海外に逃亡する手筈だった。壮絶で悲しい過去を抱える二人。響子は母娘で慎ましく暮らしていたのに…。ユミは幼い頃から体を売り、諦めしかない人生でやっと出会えた恋人が殺され…。響子がユミの逃亡を助けるべく救いを求めた人物とは?ユミはたったの17歳で背負ってきた過去が本当に壮絶。裏切られの人生、でも響子は裏切らなかった。やっと前に進めそうだったのに切なすぎる結末。最後の1行が胸を締め付ける。鴻野の言葉だけが救い。
2022/07/30
かつやん
一気読みだった…。読みやすくもあるけど2人の女性が同じ境遇から逃亡する心境がわかりやすく先が気になる。しかし、鬼畜な男どもに、不倫のなりの果ては犠牲になるのはやはり子供なのか…読破後はなんとも言えない、「せつなさ」が残る本でやるせない。救われたのがユミの最後の一言に心打たれる。それだけが、救いだった。ドラマにもなったみたいだが…なんとも言えないなー
2018/04/25
本木英朗
日本の現代女流ミステリ作家のひとりである、唯川恵の長編のひとつである。もちろん俺は、今回が初めてだ。並木響子は娘を死に追いやった男を殺す機会をついに得た。復讐を遂げ、放心状態で立ち尽くしていたとき、見知らぬ若い女・道田ユミに手を引かれ、その場から逃げ出すことに――という話である。「著者の新境地を開拓した傑作クライム・ロマン」ということだったが、俺的にはまあ普通だっただろうか。とりあえず以上です、ハイ。
2024/09/15
APIRU
清掃員おばさんと阿婆擦れ娘の復讐&逃亡劇。まったく面識のない二人が何だか知らないけど一緒に逃げるなか、互いに何かを見出していく。結果としては大した距離は移動していないものの、その道中では痛さや重さや切なさが窺えました。「いま」という刹那は大きさのない点、瞬く間に消えてゆく。その過ぎ去った刹那を繋げていけば、長さや傾きも生まれるのでしょう。来し方は傷と悔いと恥ばかりで、逃亡の末はそれこそ切なかったのだけれど。
2017/12/24
APIRU
亡き娘の復讐を遂げるため、清掃員おばさんが仇敵の次期副社長を誅殺する。衝撃的な場面から始まり、痛み、悔恨、背徳、そして最後には切なさの残る一篇でした。初読は数年前ですが、当時は著者が恋愛小説の大家だとは知らずに、普通に面白く読んでいました。それから他の著作も読んでみましたが、改めてこの話を読み直してみると唯川女史の中でもやや特異な趣向だと感じられたものでした。焼けぼっくいに火が付いたような恋愛話もありましたが全体としてはそれも色濃くなく、寧ろクリミナルな面の方が強くて、復讐・逃亡劇として面白く読めました。
2020/06/23
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