ないたカラス (光文社文庫 な 35-4 光文社時代小説文庫)
ないたカラス (光文社文庫 な 35-4 光文社時代小説文庫) / 感想・レビュー
小梅
憎めない偽の和尚の三太と寺男の弥吉。檀家はカラスだけの荒れ寺が舞台。最後は2人が逃げて居なくなっているけど、色々な人の心の中に残ってる。でも、また2人に会いたい!是非、続編を書いてほしいです。
2017/01/31
タイ子
「嘘も方便」とはよく言ったもので、自分たちの立ち行きのためには嘘八百も厭わない。それが和尚と寺男だからどうしようもない。幼馴染の2人は檀家はカラスというオンボロ寺に居付き千里眼の和尚と名を馳せ、悩み多き町人を苦肉の策で救っている。神様、仏様と藁にもすがる思いの人はこんな詐欺師の若造2人の嘘も見抜けないんだと笑えてしまうほど。話のオチは落語のようだと思ってたら作者の中島さんは落語がお好きなようでやはりなと。ちょっとスッキリしない部分もあるけど、こんな物語もたまにはいいなとサクサク読ませてもらいました。
2018/01/30
のんちゃん
幼馴染の男二人が偽坊主と寺男になりすまし、千里眼のふれこみで相談者から謝礼をせしめる話だが、そこにはいろいろな江戸市井の人々の事情や思いが絡み、いい味の時代小説となっている。善人や大悪人の出てくる時代小説だとわかりやすく、それが勧善懲悪だとなおさら、胸のすく思いがする。が、本作品は小悪党二人が主人公。悪い行いはしているが、なんだか憎めない二人で、終盤、知恵者の寺男が居ない間、偽坊主の嘘がバレそうな時は、こちらの方がハラハラしてしまった。ちょっと今までに読んだことのなかったテイストの時代小説。
2017/03/21
まいど
中島要らしい作品の一つ。話がそのまま落語になりそうだが落語にするには長すぎて落ちもないとなればこれはもう小説にするしかありません。 知恵が回って如才ないのに人の良さが隠せない弥吉もうすらぼんやりしてるのにすがる先はキッチリ外さない三太も弥次さん喜多さんと同じバディものであるのには変わりない。この掛け合いがなんとも言えないのだ。 最近落語がブームと聞いた。今更かとも思うけどブームであるならこう言った時代小説ももう少し流行って欲しいものである。
2016/07/15
たーくん
江戸の北端、小塚原にある築安寺には、千里眼を持った和尚がいると評判だ。だが、その正体は、食いつめ者の偽坊主。幼なじみの三太と弥吉は、和尚と寺男に扮し、相談に来る者から謝礼をせしめていた。亡き師匠の娘と所帯を持つはずだった噺家が、許嫁が急に心変わりしたと泣きついてきた。(表題作)厄介事を、いかさま千里眼で珍妙に解決。人情味溢れる傑作時代小説。
2019/12/28
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