彼女の家計簿 (光文社文庫 は 35-2)
彼女の家計簿 (光文社文庫 は 35-2) / 感想・レビュー
ノンケ女医長
32歳の里里。とても素敵な名前。彼女は、10歳も年上で、妻子ある男性を好きになってしまい、子どもを身ごもって出産した。彼女はきっと、生きる支えが欲しかったのだと思うし、生きる糧を教わる機会も残念ながら、少なかったんだと思う。祖母(大正9年生まれ)が遺した家計簿に熱中している里里は、疎遠と言っていい母親の足跡がきちんと記録されているのを読んで、自分の存在や母との関係性を変えられることを期待したのだろうか。祖母の遺した、厚みのある冊子。こういう、人生の修正の仕方もあるのだなと感じ、羨ましい気持ちにもなった。
2023/02/26
mike
シングルマザーの里里の元に祖母の家計簿が送られて来た。顔も見た事が無く、知っているのは遠い昔家庭を捨てて男と心中したという話のみ。彼女の戦中戦後に書かれた家計簿にどんな秘密があり、それが里里とどんな関係があるのか?知人から原田さんの3冊を借りたがどれにも家計簿、お金の使い方、女が働き生きる事が根底にあり彼女の考え方が現れている。この本には経済的な話でなく、女性が働く意義や人との繋がりについて書かれてあり、個人的には「3000円の」よりもこちらの方が奥深くて好みだった。
2023/01/13
はにこ
タイトル見たときはお金の使い方指南的な内容の本なのかなと思っていたけど全然違った。家計簿から紐解かれる先祖の生き様。戦時中、戦後と働くママだった加寿と今を生きるシングルマザーの里里。状況は違えど生き抜く大変さを痛感した。そんな加寿が居たから里里が救われるということに小説だけど運命を感じた。自分が生きた証をのこした加寿は格好良いな。
2023/03/30
相田うえお
★★★☆☆24072【彼女の家計簿 (原田ひ香さん)】当方は紙ベースの家計簿を付けたことがないので分からないのですが、それって日記的な要素も書き込める様式になっているんでしょうか?本作品を読むと家計簿というよりは日記の意味合いの方に重点がおかれてるんで、そうなのかなぁ〜と。ま、知ってる方も多いんでしょうね。つーか、知らないのは当方だけだったりしたら『がーん!』😱ですよ。(何てったって日記も三日坊主だったからなぁ〜)こういう記録を書き残す作業は今でいうと、何かある毎にスマホで写真で残してるのと似てるかな?
2024/07/29
Willie the Wildcat
家計簿に垣間見る歴史。時代、人、そして心。掛け違いの紐解きに、時間切れはない。過去を踏まえて今を生きる。朋子のマフラーが、全てを語っている感。言葉ではなく心。加えて真実は1つであり、受け止める際の人生経験などにより、その真実の意味・意義も異なる気がする。木藤の涙もその真実の一端であり、半生でもある。みずきとの出会いが転機となり、観点・視野が広がる件が印象的。『ボヴァリズム』・・・は字面は間違ってはいないと思うが、必ずしも腹落ちしないなぁ。
2016/09/25
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