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雨のなまえ (光文社文庫 く 19-1)

雨のなまえ (光文社文庫 く 19-1)

雨のなまえ (光文社文庫 く 19-1)

作家
窪美澄
出版社
光文社
発売日
2016-08-09
ISBN
9784334773304
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雨のなまえ (光文社文庫 く 19-1) / 感想・レビュー

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おしゃべりメガネ

窪さんらしいリアルなエロさが漂ってる短編集です。しかし、作品によっては東日本大震災を絡めているので、なかなかシリアスな雰囲気にもなっています。個人的にはやっぱり窪さんは短編集がステキかなと。シングルマザーの苦悩や学校教師のトラウマ、どこか行き場所のない哀しみを抱えた登場人物達が儚いです。こういう作品、読んで決して元気にはなれないかもしれませんが、今自分が置かれている環境の’平凡’さのありがたみを改めて感じるコトができますね。人を大切に、そして何より自分をもっと大切にしなければいけないと思わせてくれます。

2018/04/29

じいじ

『よるのふくらみ』を読んで、その巧さにやられた窪美澄。本作は5編の短篇集、各々の趣が違って味わい深い良作で面白い。とりわけ、冒頭の表題作がずば抜けて印象に残った。この作品だけ異質の風合いを感じた。妻が妊娠中にもかかわらず浮気する夫、退廃的で醒めた男にイラつきながらも、何故かぐいぐい引き込まれてしまう。この短篇を読んで思った。―「この作家、巧いなぁ!」と。その他、息子と夫の弁当を作りながら、夫でない男との情事を妄想する主婦。年齢の老いを悔いながら葛藤する女…。複雑に揺れ動く女の心情が見事に描かれています。

2017/08/23

新地学@児童書病発動中

やるせなく、暗い短編ばかりで後味が良いとは言えない。でもこの暗さが窪さんの持ち味だろう。性的な描写が多いのも他の作品と共通するところだ。「記録的短時間大雨情報」に書かれる女性の孤独と心の痛みは、こちらの心の一番柔らかいところに突き刺さってくる。「ゆきひら」が一番好みの短編。男性にとってはぞっとする結末だが。いじめられている自分の好きな女の子を、見捨ててしまった男性教師の苦悩が、リアルに描かれている。最後の「あたたかい雨の降水過程」では、最後でわずかに救いが示されて、ほっとした気持ちになる。

2017/07/02

ベイマックス

5つの短編集。4つ目の『ゆきひら』は最悪な内容で最悪な結末でした。不快で、最後の話しに読み進む気がしなくなるほどでした。◎『記録的短時間大雨情報』は、バイトの柏木のちくりがムカつく。行き違いや誤解は仕方ない。他人に言うのは最低。男女とも既婚者でもいつまでもかっこよく・美しく、あろうとした方が素敵だと思う。◎生きにくい世の中の愚痴に焦点を当てすぎても辛くなるばかり。

2021/06/21

hit4papa

雨降りの日のような辛気臭くて湿度の高い短編集です。途中で読むペースが落ちてしまうほど、いたたまれない気分にさせるのは、如何ほどか自分にも共通する部分があるからなのかもしれません。心の底にある欲望が、ふいに発露してしまうような居心地の悪さ。主婦がパート先のバイト学生に想いを寄せる「記録的短時間大雨情報」、自分と不釣り合いな憧れの美女との暮らし「雷放電」、いじめに対しての無力さを痛感する教師「ゆきひら」他、2編です。見たくないものを見てしまった気分。作品の中でも雨が効果的に使われていますね。どよ〜ん。

2018/01/06

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