忘れ物が届きます (光文社文庫 お 43-5)
忘れ物が届きます (光文社文庫 お 43-5) / 感想・レビュー
さてさて
過去は触れてはいけないものではなく、まだ解き明かされていない事があれば解き明かしたい!と思うのは当然のことです。しかし、過去への扉を押し開けたその先には、思いもよらなかった結果が待ち受けている場合もあります。それは現在の、そして、未来のあなたの人生にまでも予期しない影響を与えていく場合もあります。そう、この作品はそんな過去への扉を開けた結果が現在の主人公にもたらす様を見る物語。それは過去の扉の向こうのまさかの真実を見る物語。大崎さんの目の付け所の面白さに、まさかの驚きと、少しのモヤモヤが残った作品でした。
2021/06/30
ゴンゾウ@新潮部
忘れ物が届きます。なるほど、そう言うことか。過去に起こった事件の真相がちょっとしたことから明かされる。事件の裏側に隠された真実が。今となっては懐かしくもありその時あったわだかまりも溶けていく。装丁の絵は微笑ましいが内容はシビアでした。
2018/10/20
いこ
表紙に似合わない不穏な雰囲気の短編5編。①20年前の小学生時代の出来事は、事故か殺人か?②3年前、中三女子が襲われた。犯人は?③半年前、彼女が彼にした些細なイタズラ。その結果…。④10年前に起きた強盗殺人事件。現場付近で息子を見かけたと言われ、両親は?⑤60年前、家に遊びに来ていた「兄の婚約者」が忽然と消えた。彼女はどこへ? これらの事件が今になって蒸し返される。どの1編も、話の先が気になり、どきどきしながら読んだ。タイトルの「忘れ物が届きます」は「忘れたいものが届きます」に変更した方がよさそう。
2023/02/07
hitomi.s
私にも「忘れ物」あるだろうな。今の私じしんをつくる、分岐点だったはずの忘れ物。自分でも、気付いていないかもしれない。この毎日に至ったきっかけの何か。幾度もあった岐路で、向こうを選ばなかったきっかけになった何か。その何かがあったとして、知るべき気付くべき忘れ物だったとしたら、この本のようにどこかのタイミングでわかるものなのだろうな。そんな仮定に仮定を重ねたことをぼんやり思った。家族の本。
2019/06/16
とろこ
5話から成る短編集。タイトルと表紙から、ふわふわしたメルヘンかと思いきや、しっかりミステリーだった。共通しているテーマは、過去と現在。過去のわだかまりや、罪の意識、後悔…。そうした感情を、時を経て、謎解きをしながら解消していく。起きた事件の中には重いものもあるけれど、みな、優しさに救われて良かった。「沙羅の実」はかなり切ない。「おとなりの」が一番好き。自然と消えてしまう記憶も、意図的に忘れてしまう思い出もあるけれど、こんな形でなら、「忘れ物」が届くのも、悪くないかもしれない。
2018/03/17
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