鴎外の婢: 松本清張プレミアム・ミステリー (光文社文庫 ま 1-49 光文社文庫プレミアム 松本清張プレミアム・ミ)
鴎外の婢: 松本清張プレミアム・ミステリー (光文社文庫 ま 1-49 光文社文庫プレミアム 松本清張プレミアム・ミ)
- 作家
- 出版社
- 光文社
- 発売日
- 2017-10-11
- ISBN
- 9784334775438
鴎外の婢: 松本清張プレミアム・ミステリー (光文社文庫 ま 1-49 光文社文庫プレミアム 松本清張プレミアム・ミ) / 感想・レビュー
NAO
小倉時代の鴎外と関わりがあった女性たちについて調べていた文筆家が事件に遭遇するミステリ。ノンフィクションに近い話なのかと思って読んでいると、いつの間にか、怪しい気配が漂い始める。後半の展開にはちょっと強引かなと感じる部分もあるが、鴎外に邪馬台国伝承までからめて、なんとも盛りだくさんなミステリだった。
2023/03/06
PAO
「好奇心は婦人の性情中最も発展したものの一つなるべし。冒険談、探偵譚等のおもに婦人を以て読者となすはこれが為なり」…鷗外はこのように書いてますが、女性に限らず清張は「好奇心」が高じて事件に深入りしていく主人公の小説をいくつも書いており、今では当たり前の素人探偵のはしりを作った様な気がします。『鴎外の婢』でも何気ない文学調査が事件の発掘になってしまうという偶然を巧みに描いています。史跡や古墳を巡るシーンは後年の『火の路』と重なりました。古代史への思いなど清張のその後の作品を思う上でも重要な作品だと思います。
2019/06/21
金吾
「書道教授」は男のあまりにも優柔不断かつ身勝手さに辟易しながらも、書道教授の意外さが良かったです。「鷗外の婢」はアプローチを楽しむことが出来ました。
2023/11/09
kaoru
『書道教授』『鴎外の婢』の2編を収録。『書道教授』は上品な未亡人の裏の貌とそれに乗じて犯罪を行おうとする男の破綻を描く。『鴎外の婢』は小倉時代の鴎外の婢たちを調査する歴史家が現地に赴いて彼女たちの子孫を調べるうちに犯罪に突き当たる中編。鴎外の日記を紐解く淡々とした記述から、現代の殺人が暴かれる展開にはびっくり。鴎外に対する著者の敬愛と興味が伝わってくる。「好奇心は婦人の性情中最も発達したるものの一なるべし」という鴎外の『心頭語』の一節が実にリアルに伝わってくる作品。清張の弱者への同情も感じられる。
2018/05/13
fumikaze
「書道教授」「鴎外の婢」の2篇入り。「書道教授」はサスペンス風でドキドキさせられる。ただ、主人公が周囲の女性達を常に「女」として見ているのが、なんだかな、という感じ。(妻のことは女性として見ていないのも不思議)。「鴎外の婢」は古代史が絡んでいて、私は部分的に読み進めるのが困難だったが、歴史好きな人には楽しめるだろう。
2020/01/02
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