将棋推理 迷宮の対局 (光文社文庫 や 22-7)
将棋推理 迷宮の対局 (光文社文庫 や 22-7) / 感想・レビュー
じいじ
いま、天才棋士・五冠王藤井さんで湧く将棋界。今作は「将棋」をモチーフにしたミステリー集で、将棋好きには堪らない一冊です。9人の将棋好き作家陣による、手に汗する熱戦は愉しめました。むかし名探偵・金田一耕助でちょいハマりした横溝正史の【詰将棋】は、28頁の物足りなさは残るものの面白かった。私のイチ押しは、初読みの高木彬光の【棋神の敗れた日】。当時の木村名人と鬼才の升田八段の名人戦で湧くプロの世界の厳しさに、突如現れた「棋神」と言われた天才が主人公。さしずめ、いまの藤井さんのような少年の出現です。
2022/11/14
hnzwd
物語の小道具として、将棋を使った作品を集めたアンソロジー。将棋の知識が無いと、、という作品は少ないですが、時代設定がひと昔前ってものが多かったのは、羽生さんによるブームよりもっと以前の将棋が大人気だった時代に書かれた物が中心だからですね。作家陣は有名どころばかりですが、将棋縛りって結構苦しいのかも、という印象を持ちました。
2018/02/08
KJ
将棋を物語として読みたいと思った時に出会ったのが本書であった。将棋とミステリーは親和性が高い。曰く謎に対する挑戦即ち推理の精神は合理性の追及という点で相通ずる。推理作家に将棋好きが多いのも頷ける。一口に将棋ミステリーと言ってもアプローチの方法は多様だ。敗北時の悔しさは殺意を抱く程の憎悪を生み犯行の動機にもなり得る。改めて将棋の恐ろしさを感じる。棋譜や詰将棋は暗号として利用する事も出来る。盤や駒に目を向ければ骨董的な価値を絡めて凶器の謎を生み出す事も可能になる。将棋を通して様々な人生が投影されるのも面白い。
2019/10/24
Susumu Kobayashi
将棋を題材にした推理小説を9編収録している。比較的古い作品が多い。巻頭の山村正夫「詰将棋殺人事件」は作品としてはまっとうだが、こちらがふだん海外作品の方に親しんでいるせいか、安っぽい刑事ドラマみたいに感じた。泡坂妻夫「かげろう飛車」は何重にも凝った作品。しかももともとは暗号で発表されたものだという。横溝正史「詰将棋」の結末には唖然。編者による解説は力がこもっている。紹介されている作品が読みたくなった。
2018/01/29
yoyogi kazuo
江戸川乱歩邸での探偵作家クラブの面々によるクラブ名人戦の話とか、横溝正史が疎開していた岡山県の農村で演劇指導をしたときの女子青年団の主役の女の子が大山名人に嫁いだ話とか、本編よりも解説の方が面白かった。ミステリ小説自体はどうにも古臭く時代を感じさせるものばかりだったが、将棋を愛する作家たちがこんなにいたのだと思うと現在に引き比べ聊かの寂しさを感じる。
2023/08/15
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