恋する狐 (光文社文庫 お 51-2 光文社時代小説文庫)
恋する狐 (光文社文庫 お 51-2 光文社時代小説文庫) / 感想・レビュー
sin
最近、女絵師の話を読んだがそれとは対称的な絵の表現がここにある。女絵師の拘りは職人的とも云える表現の追究であり、蕪村の形に拘らない本質を求める姿勢とは切り口の違いを感じた。さて本作も優しい話が揃っている。例えば『鈴虫』妖刀を扱った話であるのに読者の予想を裏切って波風を立てずに纏められている。物足りなさもあるが、このどこまでも優しい視線が作者の持ち味であり、魅力だと感じている。
2018/12/19
ポチ
前作同様に与謝蕪村が見聞きした妖達の短編9話。ほろっとしたり、ほっこりしたり、心に沁みました。
2018/12/10
アルピニア
切なさ、ほのかな温かさとともに心に沁みる九篇。どの話もそれぞれに味わいがあって好きだけれどあえて挙げるとすれば、「虫鬼灯」と「鈴虫」。特に「鈴虫」は陰惨になりがちな妖刀の話が意外な幕引きになり、折口さん独自の展開だなぁと感じた。蕪村の絵に対する気持ちや若冲との対比を描いた話も良かった。ますます追いかけるのが楽しみな作家さん。2018年最後の一冊。
2018/12/31
コジ
★★★★☆ 「踊る猫」の続編に当たる本作。ただし、連作短編なのでこちらから先に読んでも支障なし。今回は与謝蕪村やその友人知人が見聞きした温かみのある不思議噺が9編。冒頭から緩やかで温もりを感じさせる直球的な話もあれば、ヒヤリとした心地で読みすすめると最後にホッとさせてくれる変化球もありと、楽しませせくれます。表題作の「恋する狐」は最後に収録、こんな雅な騙し方をしてくれる狐だったら一度ぐらい化かされても良いかもと思いつつ読了。
2019/09/24
onasu
解説に曰く、俳人にして絵師の与謝蕪村を狂言回しにした幻想的な短編(集)、とは的確な表現で、ここのところ、若冲さん、応挙さんらの京都画壇の話しをよく読んでいたもので、そういや俳人の方が先やったな(失笑)。 とは言え、京に居を移してから(あくまで幻想的ですが)の話しなんで、特段の支障もなす。それより、蕪村さんは、こういう役回りに相応しい人だっけか? 各地へ旅して、色んなことに接したからか、前編「踊る猫」に何らか書かれているのか。「踊る猫」が未読のままだったとは、何とも遺憾。そう思わずにおれない佳作でした。
2018/04/06
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