地面師: 昭和ミステリールネサンス (光文社文庫 か 10-17 昭和ミステリールネサンス)
地面師: 昭和ミステリールネサンス (光文社文庫 か 10-17 昭和ミステリールネサンス) / 感想・レビュー
まつうら
6つの作品からなる短編集。「黒の燃焼室」がいちばんおもしろい。「黒の試走車」の数年後を描いた続編とも言える物語で、前作を賑わせた朝比奈や馬渡らのキャラクターが序盤から勢揃いすると、否が応にもワクワク感が高まる。前作は新車開発とプロモーションにしのぎを削る情報戦だったが、本作はタクシー向け業務車両の販売に賭ける顧客争奪戦。車の性能や安全性での競争もあるが、販売合戦なので最後は価格で勝負! 結果は悔しいが、今回は朝比奈の負けだ。前作で功を奏したハニートラップを、今回は馬渡に逆手にとられてしまった。。。残念。
2023/06/07
♡ぷらだ♡お休み中😌🌃💤
積ん読本の消化。本書は、詐欺事件あり、ミステリーあり、産業スパイありとバラエテイに富んだ6つの作品集。昭和ミステリールネサンスと銘打つだけのことはあって、昭和の香りが漂う作品ばかりだが、現代にも通じるところがある。資産家になりすまし大企業の経営陣までもが騙される表題作『地面師』、自動車業界とタクシー業界の駆け引きを描いた『黒の燃焼室』が印象に残る。著者は元々は週刊誌のスクープ記事を連発していたこともあり、その経験も作品に反映されているよう。
2021/03/05
森オサム
著者初読み。光文社文庫で最近始められた「昭和ミステリールネサンス」の1冊であるが、本書収録作品が書かれたのは昭和30年代。企業がらみのネタが多く、経済ミステリーとでも言う感じでしょうか。今も昔も企業間の競争は厳しく、読んでいて身につまされる物が有りましたね。流石に時代の違いは感じるものの、当時の流行作家だけ有って、ひねりが効いていて読ませる作品集でした。
2019/12/23
緋莢
〝トップ屋”と称され、『週刊文春』を主に舞台として活躍した記者であり、作家としては『せどり男爵数奇譚』などの作品もある著者。この本の刊行は2018年12月で、やはり、世間を賑わせた積水ハウスの事件の絡みで出たのでしょうか。それとも「昭和ミステリールネサンス」というシリーズの中で、元々出す予定があったのでしょうか。表題作含め6編を収録。放漫経営で倒産寸前、銀行からの融資も得られない製薬会社が、九州に土地を 持ちながらも、取引実績が無い故に金を借りられないという地主と出会い…というのが表題作のストーリー(続く
2019/06/12
華形 満
既読の「地面師」繋がりで読んでみたが、本書は短編オムニバス集。表題作より「怪文書」が実に秀逸。現代に置き換えればさしずめSNSを使って誹謗中傷コメントを集中させる手法で簡単に達成出来てしまうが、ビラの紙質が犯人捜しに一役買うというのが流石に昭和時代、でもその着眼が上手い。著者初読みだったが、昭和中期に直木賞候補になった実力派というのは読んでみれば納得。清張に比べ各話の最後の詰めが甘いのが”候補”止まりだった事と妙にリンクしてしまう。
2020/03/04
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