木足の猿 (光文社文庫 と 25-1)
木足の猿 (光文社文庫 と 25-1) / 感想・レビュー
sin
ご維新を過ぎて文明開化、四民平等の世に亡き友の仇を求めて十七年、片足の侍がその腕前と仇の素性が相まって、異人連続首斬り殺人を探偵するサムライハードボイルド。抑えた筆運びで物語の筋立ても良くできているが、あちらこちらに話の流れで挿入される蘊蓄には散らかった印象は否めない。ラストのどんでん返しは擦れっ枯らしの読者には想定の範囲内と云ったところではあるが、これぞ探偵小説の醍醐味と思わせる工夫が施されている。
2019/05/03
Tatsuhito Matsuzaki
【今日の一冊 #103】 明治九年の横浜で立て続けに起きた英国人殺人事件。死後に生首が切り取られ晒されるという猟奇的な事件の犯人は、旧攘夷派士族か?それとも異人の同士討ちか? 事件の背後に親友の仇がいると伝えられた、居合の達人にして左足義足の男 奥井孝之は、探査の末に事件の真相を解き明かす。 しかし、そこで遭遇した最後の黒幕は… 第20回日本ミステリー文学大賞新人賞に輝く作品だけあって、最後の大どんでん返しは、最後の扉に声をかけるまで気づきませんでした。 #天誅 #生首 #阿片 #草 #下忍 #鍔
2022/09/23
yamakujira
明治9年、外国人の連続殺人事件が発生した。隻脚の武士、奥井は、命の恩人である友人の仇を追って17年、事件に仇が関わっていることを知り、怪しげな玄蔵の誘いに乗って真相を追う。連続殺人の裏に隠された驚愕の事実に至るミステリ要素も十分に楽しめるけれど、それ以上にハードボイルドな物語だな。居合の達人なのに義足だから無敵じゃなくて、諦観と執念に葛藤もする奥井を通して、時代に翻弄される武士たちの苦悩も伝わっておもしろい。費やした17年はなんだったのか、すべてを終えた奥井はどのように生きていくのだろう。 (★★★☆☆)
2021/01/11
鮫島英一
2019年の読んだ最高の一冊を挙げろと言われたら、僕はこの作品を迷わず勧めます。 それだけの作品。 文体は少し古いので敷居が高いですが、そんなことを気にしてはいけない。 幕末から明治の移り行く時代。 否応なく時代に変化に巻き込まれていく人々のなか、主人公は友人の敵討ちに執念を燃やす。時代外れの生き様は滑稽かもしれないが、男は、人とは生き方を変えられない。 義に生きたのか、時代に流されたのか。 物語の果てに彼がたどり着いた境地をぜひ読んで欲しい。。
2019/08/05
ジョーさん
偶然読んだけど、良かったよ!途中まで読みにくかったが終盤一気でした。〇かな。
2020/11/01
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