放送禁止歌 (知恵の森文庫)
放送禁止歌 (知恵の森文庫) / 感想・レビュー
鉄之助
「竹田の子守歌」が大分の竹田でなく京都市竹田地区で生まれた歌で、「放送禁止歌」だったとは、思いもよらなかった。日本の放送禁止、という措置の矛盾、アメリカとの違いなど目からウロコ、の話が満載だった。
2022/10/25
saga
【再読】初読の時に印象的だったのは「イムジン河」。書名どおり放送禁止歌という構造が強く記憶に残った。しかし、再読した今日は差別問題に言及したTVディレクターだった著者の筆致に想いを致す。放送禁止歌、同用語は共同幻想という砂上の楼閣の上に、21世紀の現代にも息づいている。関東・東北に被差別部落がないかのような書きぶりだが、関東でも主に城下町には同和問題が残っている。本書の奥深さは、再読によりようやく認識できた。ただ自分の読書歴の中で『東京の下層社会』などを読む潜在的な欲求は本書の影響かも知れない。
2016/08/23
はらぺこ
放送禁止歌とされてる歌の歌詞が載ってたけど何がアカンのか分からんかった。岡林信康の『くそくらえ節』なんかは石原慎太郎からクレームがきたんかなぁとか想像できるけど、自分の知識不足が原因やと思うのですが部落差別って言われてる歌はどこが部落差別か正直分からんかった。
2016/07/03
katoyann
深夜のテレビドキュメンタリー番組が元になってできた放送禁止歌に関するドキュメント。実は放送禁止には明確なガイドラインがあるわけではなく、ほとんどがメディアによる自主規制であることを知る。なぎら健壱の『悲惨な戦い』も高田渡の『自衛隊に入ろう』も実際にクレームが入ったわけではない。アメリカはimagineのような反戦、非戦の歌に関して圧力がかかることはあったようだが、DJの裁量があるようだ。さて日本に戻ると、部落差別に関する歌に特に自主規制がかかりやすい。『竹田の子守唄』はその典型。報道機関の思考停止を知る。
2022/02/04
タルシル📖ヨムノスキー
放送禁止や発売禁止って、レコ倫や民放連が命令したわけではなく、テレビ局やレコード会社が、問題が起きないように、要は訴えられないように取った手段だったということ。コレは、〝相手を傷つけないための配慮〟とか言ってるけど、要するに自分たちが傷つかないための配慮なわけだ。この辺、〝障害者〟を〝障がい者〟と書き換えようとか言ってる人たちの主張に似てる気がする。結局字面だけ変えても、気持ちが変わらなくちゃね。「大切なことは、一つ一つの言葉に条件反射で反応することではなく、その文脈を正しく捉えること」(p.65)
2019/12/22
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